うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

345 いけません





東京都薬用植物園のケシのミニ講座に参加しました。(2017年5月7日)


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 ● 「ケシのミニ講座」     東京都薬用植物園  東京都小平市

東京都薬用植物園の園内の片隅には、不正麻薬の原材料となる、ケシや大麻を栽培している特別な畑がある。
この畑は、まるで牢獄のように二重の鉄柵で囲まれており、柵の上部にも有刺鉄線が二重に張り廻しており、厳重な管理の様子が窺われる。
5月連休期間の数日にかぎり、外柵を開放し、内部を観察できるような期間がある。
本日のミニ講座では、この畑に入れるのは免許を取得しておられる専門職員の方のみで、受講者は内柵の外から職員を取り囲むかたち<まるで檻のなかの動物をながめる状態>で、野外講座がはじまった。
今回の講座では、栽培が禁止されているケシの特徴を、市民に広く識っていただくという点がネックとなっていた。


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 ● 栽培が禁止されているケシは3種。 ソムニフェルム種、セティゲルム種、ブラクテアツム種。

ケシ科 ケシ属 ソムニフェルム種 <Papaver somniferum>
インドから小アジアにかけての西アジア原産とされる1年草。
草丈 100-150㎝ほど。
赤、白、紫など多用な花を咲かせる。
あへんを採る目的で栽培される「けし」で、様々な種類がある。
現在、薬用植物園で保存している代表的な品種は「一貫種」。
一貫種は昭和の始めに日本で作り出され、あへんの収量が多い品種。
名前の由来は、”一反(990㎡)”の作付けからの収量が、”一貫(約3.8kg)”による。
ソムニフェルム種には、一重や八重など美しい花も多く、誤って観賞用に栽培されてしまうことがある。
日本の法律と異なり、海外の国のなかではこれらの種類も園芸種として認められているケースがあり、園芸種として誤って国内に持ち込まれるケースもあるという。
また、種が食品として使用できるものもある。
* 七味唐辛子やあんパンなどの食品に添えられるケシ粒は、既に熱殺してある。


アツミゲシ; ケシ科 ケシ属 セティゲルム種 <Papaver setigerum>
北アフリカ原産の1年草。
和名は、愛知県渥美半島に帰化して大繁殖したことから付いた名前。
草丈 30-80㎝。
ソムニフェルム種に比べ小型。花は紫色。
繁殖力が強く、空き地などでしばしば雑草として野生化する。


ハカマオニゲシ; ケシ科 ケシ属 ブラクテアツム種 <Papaver bracteatum>
全草に(特に果実、根)にテバインを含有「麻薬及び向精神薬取締法」によって栽培禁止。
草丈70-100㎝。
基部に、特徴的な黒紫の鮮明な斑点をもった深紅色の花を咲かす。多年草。
栽培が禁止されていないオニゲシに似ているため、誤って観賞用に栽培されしまうことがある。


受粉は一花ずつ職員の手によっておこなわれ、互いの交雑を防ぐため、花には袋が被される。


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 ● 栽培が禁止されているケシの主な特徴。



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 ● 柵の外から、問題となるケシの部分を見せていただく。

セティゲルム種(左上下)、
小さなケシ坊主のなかにぎっしりと詰まった種の数は、1000~1500粒。その余りの小ささはまさに”罌粟粒”の表現にぴったりあてはまる。

ソムニフェルム種(右上)、
薄紫色の花をしたトルコ産の大型なケシ坊主。切傷刀で傷をつけると次第に白い汁液が滲みだし、やがて酸化により茶色く変色する。この液にあへん成分が含有している。

ブラクテアツム種(右下)
花は栽培可能なオニゲシによく似るも、蕾には硬く伏せた毛がみられる。


これらの”栽培が禁止されているケシ”を栽培するには、日本の”あへん法”、”麻薬及び向精神薬取締法”にのっとり、厚生労働省からの特別な許可を得なければならない。
現在その許可を得ているのは、中村氏(この写真のかた)を含め、わずか7人しかおらず。
植物園でこれらのケシがみられる園は、この東京都薬用植物園と、高知の牧野植物園の2館のみ。
違法のケシは通達を受けて(年間5・6件ほど)から、回収し廃棄処分される。
東京都薬用植物園のこのケシ育場からは、毎年100gほどのあへんが採集され、国に納め医療用麻薬へと加工される。

あへんにはガンの疼痛緩和薬として欠くことができないモルヒネが多量に含まれており。
また、喘息薬や感冒剤等に使われるコデインを含む大切な医薬原料です。
しかし、これらは使い方を誤ると、強い依存性が現れる麻薬であるため、各国で、法律により使用が厳しく制限されている。
海外で園芸用に改良されたケシや野生のアツミゲシもモルヒネを含むため、日本では栽培が禁止されている。

柵前で受講しながらも、かすかに感じられるような、どこか微妙に苦っぽい匂いは、どうやらあへんの揮発成分とのことでした。


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 ● こちらはのケシは園芸種として栽培可能な種類。

園内には”栽培が禁止されているケシ”との比較資料として、柵の外の場所で栽培されている(間近に観ることが可能)。
ヒナゲシ、モンツキヒナゲシ、ハナビシソウ、トゲナガミゲシ、アイスランドポピー、ナガミヒナゲシなどを栽培。

これらのケシも傷をつけると、汁液が出るがそれらにはあへん成分は一切含まれていない。

”ナガミヒナゲシ”は、都内でもすっかり悪性帰化してしまい、この季節あちこちで花を咲かせているが、禁止種である”アツミゲシ”と似ているし。
”オニゲシ”は、禁止種である”ハカマオニゲシ”とよく間違えられるという。

講座の最後には可能種にも触れ、禁止種との異なりを明示しての終了となった。


* また冷蔵室では、有名な”ヒマラヤの青いケシ”(ケシ科メコノプシス属)が栽培されていたが、本年度は残念ながら苗に問題があり絶えてしまい観ることができない。



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 ● 資料室の展示より    東京都薬用植物園。

あへんを原料とする麻薬の製造工程表。
「あへん」原料より、まずは テバイン、コデイン、モルヒネ、が製造され、さらに細分化して医療用薬品が製造される。

「あへん」採集の工程。
未熟なさく果に切傷刀で傷をつける。
傷口から分泌する汁液をヘラで掻きとり容器に入れる。
切傷刀には、小さな剃刀のような爪が3本付いている。
掻きヘラはバターナイフのようなかたち。
あへんを竹皮に包む(アヘンアルカロイドを剥がし易いため)。


付属の資料室の小部屋には、漢方薬で用いるような様々な標本や、犀の角、センザンコウの鱗、冬虫夏草などちょっと変わった原材料もみられるが、一画に栽培禁止植物としての紹介コーナーが設けられている。
これまでも、なんとなく観てはいたけれど、さすがに講座後だとあへんから作る麻薬の様子もよく解り勉強となる。
採集道具も、つい注視してしまった。
ケシ坊主は種が出来る前の未熟な状態が、一等あへん成分が強く、その状況を見計って切傷する。
一度に全部を採るのではなく、数回(4・5回)に分けて確実に汁液を掻きとる。
花が咲き、花びらが散り、結果の頃合いを見ながら、ひとつひとつ掻き取っていく手作業は、想像するに過酷な重労働と思う。
現代では、一度に、一勢に刈り取って、触媒を用い機械で成分を抽出してしまう方法もあるらしい。


自分が、あへんや麻薬に触れる機会は、これまで通りと同じく今後も無縁ながら。
1時間のミニ講座とはいえ、ケシをこれまで、こんなにじっくり観察したこともなかったので、なかなか有意義な一時となりました。


むかしタイでトレッキングした、少数民族エリア(メーホンソンからパイ近郊、メーサリアンにかけての地域が主流)では、たしかにあへんも流通していた場所もあったのかも知れない。
当地で入手した本のなかにも、そんな写真が記載されていたように思う。
さてさて、また押入から物色かな?



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 ● ”A GOLDEN SOUVENIR OF THE HILLTRIBES ” Michael Freemann より  ISBN 974-8206-41-6

タイのASIA BOOKS より出版されているこの本には、タイ国内に居住する Kharen, Lisu, Hmong, Mien, Lahu, Akha, などの主要6大山岳少数民族を、豊富な写真で紹介したもの。
本書には、ケシに関する写真も4枚みられる。
ケシの花、ケシ畑での収穫の様子、臥して長煙管であへんを吸引する人などである。
特に目を惹くのが、小型で若干湾曲した幅広な道具を、傷を付けたケシ坊主に当て、そこから分泌した汁液を掻くシーンである。
柄付きのため、当初はてっきり小型の穂摘み鎌であると思っていたが、その余りに円くケシ坊主に合わせたような形状より、案外鎌というよりは、刃のない掻き篦なのかも知れない。


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 ● カレン族         タイ北西部

パイプのおばちゃんは、檳榔を噛んでいたのか、口の中が真っ黒だった(あるいは、お歯黒の習俗があるのだろうか?)


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 ● モン族(左上)、リス族(右上)、カレン族(下)      タイ北西部

モンの集落は、”マイクロウェーブ”とよばれていた、メーホンソン近郊の移住(ミャンマー側からの)村。

早朝、リスの子供が、豚に餌を与えているところ。

婚前のカレン女性は、ワンピース型の長い貫頭衣を着ている。円箕での風選の様子。
踏み竹に足を添え腰当てを回し、ぴーんと身体を伸ばして、織物を織る。
ここでは、五本ツノカブトによる闘虫をみました。


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 ● 少数民族の集落でみたトーテムなど     タイ北西部

にょきにょきと伸びた柱上には鳥のような翼飾りがみられる。

精霊の祠堂のようなものも、住居と同じく竹編みでできている。

捨てられていた衣服やサンダル、茶碗などは亡くなった誰かを弔うものなのか?


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 ● ゴールデントライアングルの記念碑(左)、水煙管 (右)    タイ 

数年後に再訪してみると、ゴールデントライアングルの記念碑の辺りも、すっかりタイ人による国内観光ツアーブームで盛り上がる状況となっていた。
地元の子供たち(普通のタイ人)が、はちゃめちゃな民族衣装を纏い、観光客目当てに一緒に写真に写り、小遣い稼ぎするようになっていた。

タイの田舎で売られているような煙草<*ちなみに普通の煙草で麻薬ではありません>は、ピースよりもはるかにニコチン・タール分が高く強烈です。
しかし、この竹筒製の水煙管で水を通してぶくぶく吸うと、煙が柔らかくなります。



「阿片煙管」はどんな構造なのか、一度見てみたい。  (>_<)   !!  



  1. 2017/05/09(火) 18:26:34|
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