うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

336 葉っぱかご





前回のブログでは、バスケタリー作家の関口千鶴さんの、シュロの葉をつかった作品を紹介しましたが。
世界には、植物の葉を利用した実用のかごも多くみられます。
以前、バスケタリー作家の高宮紀子さんに見せて頂いた、
Rossbach, Ed " The Nature of Basketry (Basket as Textile Art) "
という本には、自然素材を駆使した世界中のかごが紹介されていました。
竹製のかごと違い、葉製のかごでは、強度的にも弱く問題があるのでは・・・・・・・・・と、ついつい思ってしまいますが、
なかなかどうして。

本書では、実に様々なかたちの葉製のかごが掲載されておりました。
今回は、そのなかから葉っぱのかごを拾い出しました。


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 ● 自然素材の平面を折ってつくるかご。
 Rossbach,Ed " The Nature of Basketry (Basket as Textile Art) " Schiffer Publishing Ltd. 1973 より


笹の葉、竹の葉、蓮の葉など、植物の葉を利用した食品包みはよくみかけますが。
こちらは葉を容器にしたもの。
どのような植物の部材なのでしょうか、まるで笹舟をつくるようなかんじで、折り紙のようにかたちを上手くまとめています。
葉を編むのではなく、ある程度の強度と大きさの葉があれば、こんなふうに折ることもできる。
この方法ですと、上手くやると水を漏らさない容器がつくれます。
水汲みのようなものでしょうか、あるいは火にかけて鍋としても簡易ながら使えそうです。
横棒を刺して固定したりと、柄の付け方がいろいろあり面白いです。
木器や、やきもの、バケツなどの容器をわざわざ持参しなくても、このような葉が身近にあれば、簡単に手折って、出先で即席の水汲みがつくれます。

いずれもオーストラリア。


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 ● 魚の骨のような葉っぱの自然のかたちを組んでいく。
 Rossbach,Ed " The Nature of Basketry (Basket as Textile Art) " Schiffer Publishing Ltd. 1973 より

ヤシの葉のように大きな葉があれば、数枚合わせて、葉のそのままのかたちを上手く組むだけでかごをつくることが可能です。

葉の互いの部分を縫い合わせて、日除けや雨除けに使用、アンダマン諸島 (左上)
メキシコ (上中)
ペルー (上右、左中、中央)
屋根編みのサンプル、クック島 (下中)


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 ● ヤシの葉で編んだかご。 その1
 Rossbach,Ed " The Nature of Basketry (Basket as Textile Art) " Schiffer Publishing Ltd. 1973 より

底の部分を十字に合わせ立ち上げています。  ペルー。


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 ● ヤシの葉で編んだかご。 その2
 Rossbach,Ed " The Nature of Basketry (Basket as Textile Art) " Schiffer Publishing Ltd. 1973 より

葉をそのままのかたちでささっと組んだ、即席仕上げの目の粗い編みのもの。
葉を細かく裂いて丁寧に編み込んだもの。
よく似た形状のかごながら、かごの表情は様々です。

ミクロネシア (左上、右上はその拡大部分)
サモア (左中)
ハワイ (右中)
ミクロネシア(左下)
ニューヘブリディーズ島(右下)


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 ● ヤシのかご   パプアニューギニア     武蔵野美術大学美術館図書館・民俗資料室蔵。

本に紹介されていたサモアのかごと、ほぼ同じかたちのかごがありました。
葉先の部分をさらに細かくまとめ、最後になかに回し込んで固定しています。
葉を編んでから、最後に葉髄を真二つにぱっくり割れて口が開きます。
強度のある葉髄がそのまま持ち手となり、その場使いの簡易かごながらとても美しいかたちをしています。
本来は、切りたての青竹のような、鮮やかな色をしていたものでしょう。


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 ● クバの葉の様々な利用。

クバの水汲み、 石垣島 南島民俗資料館 (左上)
古見のクバ容器作り (右上)
クバの水汲み、柄杓、なべ、 武蔵野美術大学民俗資料室蔵 (左中、3点)
クバの笠  沖縄県立博物館 (右中)
クバの団扇、酒瓶包み (右下、2点)
タイの水汲み (右下、赤枠のもの)

沖縄には、クバ(ビロウヤシ)の葉を利用した民具が多くみられます。
クバの葉は、シュロと同じような掌形をしています。

葉先と、葉元の茎をまとめれば、そのまま水を汲める容器になります。
井戸の釣瓶として使う水汲みは、柄の端に珊瑚片などの錘を付けます。
井戸の水面にぽとんと落とした震動で、まずは水面にいたボウフラ(腐っていない生きた水にいる)が驚いて拡散し、浮いたままの状態の水汲みが、やがて錘のバランスで徐々に傾いていき、ボウフラを入れることなく容器に水を溜めることが出来るという優れものです。
古見の容器作りでは、葉の上に両足を乗せて葉先をまとめ容器のかたちをつくっています。
タイの民具の本にあった水汲みも、その素材は不詳ながら、クバの水汲みにとてもよく似たかたちをしています。

重しで押して平らにし、端を切り揃えればこんなかたちの団扇になります。

型に葉を当て成形し、竹籤を周わし縫い込んだ笠。
写真右手の富士形の笠は、横に回した輪骨の数も多く強度を増したつくりです。
風の強い与那国の笠です。
また同じ山形をした笠でも、海人(うみんちゅ)用の笠は風のあおりをより防ぐよう、農用の笠よりも鋭角な山形をしています。
ほかにもクバの葉で作る蓑があり。
長く保つように、水田に漬け”泥染め”(土中の鉄分を活用)して加工します。

近ごろは大型の酒販店などでも品揃えが増えている、沖縄の泡盛ですが。
泡盛の瓶包みも、ひとつひとつずつ丁寧に、クバの葉を手で包み仕上げたものです。


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 ● 沖縄の草の葉あそび。

クロツグとソテツを使った草の葉遊び。 竹富島 (左上、中下)
ソテツの葉の虫かご編みの工程。 西表島 (右上)
ソテツの葉製の虫かご。  「ぱいぬかじ」沖縄の民具展、武蔵野美術大学美術資料図書館・民俗資料室 カタログより。 (左下、右中、右下)


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 ● 葉っぱの団扇など。

オウギヤシの葉を切って仕上げた団扇。 (一段目、ともにミャンマー)
ヤシの葉を編んで仕上げた団扇。    (二段目、左;インド、右;産地不詳)
ヤシの葉を束ねた団扇。        (三段目、イラン)
ソテツの葉を束ねた箒。        (四段目、沖縄)

沖縄のソテツの箒は、御獄(うたき)での行事や墓参などの際に簡易的な掃き掃除に使います。
周囲に自製しているものを数枚手折り合わせただけのもの。

イランの団扇は、ケバブー屋で使われていました。


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 ● ヤシの葉団扇 2種。

左; フィリピン   幅300×370ミリ。
右; 産地不詳(パキスタンあたりのものか?) 190×455ミリ。

いずれも一枚の葉を余すことなく、緻密に編んでいます。


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 ● ハスの葉っぱ。

最後は、かごではありませんが葉っぱのおまけで。

もう10年ほども前のこと、蜂の巣状に穴のあいたハスの実が欲しくて、古代蓮の大賀蓮を手折ってきたことがありました。(写真上3枚、長野県富士見町の蓮池と採集当初の写真)

陰干しの際に自然と閉じてしまったハスの葉も、よく見たらこの空蝉状態がなんだか”かご”のように見えてしまいました。
結局捨てられず、一枚残したもの。(写真下3枚)



葉っぱのかごにも、いろいろなかたちがあって楽しいです!!  (^o^)   




  1. 2017/03/22(水) 21:38:39|
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