うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

308 よっこらせ その2



引きつづき、旅の背負籠写真の第2弾。
今回は、ラオス、ミャンマー、チベット、ネパールです。


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 ● 青メオ(モン)族    ラオス、ウードンサイ。  1994.12.14


ラオスの山の民・青メオ族、背負うカゴは緯方向にジグザグと編まれた背負籠です。
ランドセルのように両肩に負います。
この地域の基点ともなるウードンサイの市場には、周辺の小村から山岳民族が買い出しに来ていました。
頭飾りや細かな刺繍が施された前掛けなど、民族衣装がとても素敵でした。


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 ● 背負籠  ラオス。

刺繍がとても美しい肩掛け(パビーアン)など絹織物と機織りで、新興の土産物屋が出現して有名となったパノン村。
そこで譲って頂いた背負籠は、上写真のウードンサイのものと同じタイプです。
この背負籠は、後に旅行した中国の雲南省でもよく見かけました。
このジグザグ編み部分が、日本の高千穂地方の背負籠である”カルイ”と、一見よく似ていますが、四角いカゴ底や縁の編み方などを見ると、まるで違ったタイプの背負籠と識れます。
肩紐部分は革製、そこに結ばれるのは荷造り用のプラスチック・ロープでした。
角底のため背中に当たる部分が比較的平面となり、なかなか負い易いカゴです。


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 ● 上;  ランテン族    ラオス、ルアンナムター。   1994.12.13
   下;  アカ(kho)族   ラオス、ムアンシン。     1994.12.13

中国との国境ともほど近いこの地域では、日常的に民族衣装を纏った山岳少数民族を随分と見かけました。
深い藍染めの濃紺の衣裳に白い脚絆、頭部にお団子状に髷を結ったランテン族は、ピックアップ・バスの乗り換え地点で偶然目にしました。
薪を売りに下りてきたのでしょう、小さな子どもを引き連れての集団。
背負籠に、その二倍の長さがある薪を棒挿しして運んでいます。
ムアンシンの市場でも同様に、どこの種族に属すのか知れない少数民族を沢山見かけました。
写真はアカ族、先のタイの項でも紹介したように、背負籠には肩に首枷のような木の板が付き、頭額帯と共用する運搬方法です。
丁度買物途中で腰を下ろし小休止しているところです。
この後、さらに背負籠を追ってついていったら、物陰でいきなりお尻を突き出し放尿がはじまりました。
女性の立ちション姿を初めて目にしましたが、重い背負籠を負ったままでは、いちいち屈み込まずに立ったままのほうが便利ですし、スカート状の下穿きも理に適った衣裳です。
ここでは馬の背に振り分けてつけるための二連型をした荷カゴなど、変わったカゴも多く見かけました。


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 ● 朝市     ミャンマー、ニャウンシュエ。  1994.11.6

ニャウンシュエはインレー湖畔のインダー族(舟の片脚櫓漕ぎで有名)の町です。
写真を見ると、買い出しする男性も結構多いのですね。
丸竹製の天秤棒を肩にした青年(上)では、棒挿し用の把手が付いた空いた荷カゴを重ねています。
市場の路上に並べられているカゴには天秤運搬用の長柄が付いたカゴも見られます。
背負籠では、目の詰まったもの、開いたものが見られ、いずれもたすき掛けにしています。


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 ● 担ぎ屋の少年    ミャンマー、キャイクュー。  1994.11.25

キャイクユーは、崖壁に微妙な位置で置かれた巨岩のゴールデン・ロックがあるチャイクティヨー・パヤーで有名な町です。
山頂の寺院への巡礼路では、まだ年嵩もない少年が担ぎ屋として働いていました。
細長い背負籠を、重心を出来るだけ上部に保つよう、肩の当たりまで極端にたくし上げて負っています。
バランスをとるための肩当てと頭額帯を使った二重対応で重荷を担ぎます。
ネパールのポーターたちは60㎏ほどの荷は平気で運びますが、この子達はいったいどのぐらいの重量の荷を上げるのでしょうか、凄いものです。


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 ● 背負籠   左; 中華人民共和国、西蔵自治区 ガンデン。  1997.9.5
         右; 中華人民共和国、西蔵自治区 ラサ郊外。  1997.9.1

角底逆四角錐形の四角い背負籠、かどに四本角が突き出たかたちです。
器体となるかどに枝を二本曲げて、楊のような木質で編まれています。
木の皮を残した材をあえて織りまぜて模様を出したりと、幾分凝っています。
前胸部に負い紐を周し負います。


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 ● 背負籠   左; 中華人民共和国、西蔵自治区 シガッツェ。  1997.9.7
         右; 中華人民共和国、西蔵自治区 ギャンツェ。  1997.9.8

チベット高原、どちらの町も標高4,000メートルほどはあるため、タケの自生の森林限界を超えています。
ただ写真の背負籠はいずれも竹製らしく、余所の地域からの流通品としてもたらされた物でしょうか。
こちらも前胸部負いです。
カゴに負われた小さな子どもが可愛らしい。


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 ● 左上; 背負籠          ネパール、デオラリ。   1990.12.15
    右; 唐棹による蕎麦の脱穀   ネパール、ススパ。    1990,12,15
   左下; 草運びの子ども      ネパール、ダルプック。  1989,8

「ドコ」と呼ばれる逆錐形のカゴと、藁で編まれた「ナムロ」と呼ばれる頭額帯が常にセットとして使われる、ネパールの背負籠。
デオラリ(峠の意)、ススパは、カトマンドゥ盆地から若干はずれたチャリコットから、ネワール族の古い集落であるドラカを経て、ビグ・ゴンパまで、チベットへ連なるかっての塩の路を歩いたときのもの。
ススパでは、タミーと呼ばれる人たちが、ジンチョウゲ科のロクタを用いて作る紙漉を見ました。
家の片隅に見られるドコは、デオラリのものより更に大きなものです。

ダルプックは、カリガンダキ水系にある舟渡し場ラニガートより奥に入り、土地の人がボテと呼ぶ(一般的にはマジ。主に漁労や砂金採りに従事)河の民の集落です。
小さな兄妹が家畜用の資料の草を運んでいます。
子どもにとってはかなりの重荷なのでしょう、ナムロの端を両手を締めてしっかり掴み、首が後ろに持って行かれるのを防いでいます。

背負籠の運搬では、カゴの持ち上げ下ろしが結構大変で、地面から直ではなく比較的段がある高さのところにカゴを置き「よっこらせ」とやるほうが腰に負担がかからず上手くいきます。
荷役には重たい荷をいちいち下ろして休むよりは、カゴを負ったまま立ち姿で休むほうがはるかに楽らしく、そのためカゴの底に当てるT字型の杖のような道具があるのも見ました。


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 ● 左; 背負籠   ネパール、バクタプール市街。1995.11.11
   右; 背負籠   ネパール、バクタプール郊外。1992.3.15
 

こちらは町場の写真。ドコの上に鶏カゴを縛って運搬しています。
カトマンドゥ盆地では丸竹の天秤棒を用いた振り分け運搬も見ますが、やはり山がちなネパールではドコとナムロを使った背負籠での運搬が一般的です。
インド系の物売りたちは、こちらに居ても頭上運搬で、しっかりと自分たちの運搬法を固持している点も面白いです。
同様に物の背負い方にも、ネパール人は頭額帯運搬が合っているらしく、雇ったポーターはリュックを背負うのをとても嫌がり、わざわざドコに入れて運んでいました。
ナムロ一本あれば、相当な物が運べます。
通りの向こうから箪笥が自ら歩いて来たと思いきや、ナムロで負う人だったりと驚かされることもありました。
トレッキング最中には、病院を目差し一日かけて下山する、病人の老人をドコに入れて運んでいた若者にも出会いました。
バクタプール郊外の農作業でも、ドコでの運搬と同時に、ただナムロだけを用いた乾し草運搬など、運び方もいろいろながら、ともかく頭で負うのが好きな人たちです。


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 ● 漁り   ネパール、ポカラ フェワ湖畔。 1989.8

左; 竿を手に雑魚を獲っていたガイネ(祭りのとき歌舞いなどを担当する職能カースト)の女性。
右; 田んぼの畦での漁りの様子、手前には小型の背負籠、腰魚籠のかたちは日本の九州地方で見るような”カタキリ”型をしている。


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 ● 左; 花売り       ネパール、ラリトプール。     1998.3.27
  右上; 赤ん坊に油を塗る  ネパール、チャングーナラヤン。  1995.10.25
  右下; 街路にて      ネパール、パノウチ。       1995.11.01

ネワール族の古都ラリトプール、花売りの、祀り用の供花であるマリーゴールドの黄色が鮮やかでした。
冬場の皮膚の乾燥を防ぐため、お母さんが赤ちゃんの身体に油を塗っています。
ドコを逆さに置き簡易的な鶏伏せにしています(なかにヒヨコがいました)。
日常的に見られる背負籠の風景です。


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 ● 上; 背負籠    ネパール、ドゥリケル。       1998.3.21
   下; 背負籠    ネパール、カトマンドゥ郊外。    1989.8

最後は背負籠を負った子供の後ろ姿です。
この写真のころから既に幾星霜、この子の子ども達も、いまだ同じようにカゴを負ったくらしなのでしょうか?


背負籠、やはりどれもが魅力的です! (^-^)  



  1. 2016/10/31(月) 13:07:10|
  2. 民具
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  1. 2016/11/09(水) 09:46:09 |
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Re: お写真について

> 突然のご連絡失礼いたします。
> ネパールやブータンなどの国々の写真に関心があり、
> 検索していてたまたまこちらのブログに辿りつきました。
> 記事と写真を興味深く拝見させていただきました。
> 私もブログなどで東南アジアの農民の姿を紹介する記事を書きたいなと思っていたのですが、
> もしよろしければこちらのブログで掲載されているお写真を一枚ほどお借りしても宜しいでしょうか?
> (使用目的は商用ではなく個人ブログでの記事の掲載です)
  1. 2016/11/16(水) 13:57:29 |
  2. URL |
  3. フナコレタロ #-
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Re: お写真について

伊藤さま、どうぞ自由に活用くださいませ。
  1. 2016/11/16(水) 14:04:55 |
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  3. フナコレタロ #-
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