うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

304 背負籠づくし





前回家にやってきた背負籠、似たかたちはないかと検索の旅。

先の魚籠探しとワンパターンながらも。
** ブログ№302 魚籠づくし
http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-302.html

今回は背負籠を並べてみることにしましょう。

*** 尚 背負籠<01~34>は、武蔵野美術大学・民俗資料室 収蔵資料より。 カタカナの名称は地方名、地域は旧地名のままの記載としました。



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 ● 背負籠ずらりと勢揃い


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 ● 背負籠 その1

<01> 背負籠     岩手県二戸郡一戸町
<02> ツボケ     岩手県二戸郡一戸町
<03> キノコカゴ   宮城県玉造郡岩出山町
<04> 背負いカコベ  秋田県仙北郡六郷町上鑓田 / 茸、筍採り用
<05> ショイカゴ   福島県会津若松市 / 茸採り用

岩手の一戸町鳥越地区はスズタケ細工で有名です。<01,02>もやはりスズタケでしょうか、素材が生みだす柔らかなかたちに仕上がっています。
角底で網代編みのツボケ<02>は、”摘み桶、摘み笥”の転訛か? 紐通しの輪付きながら高さ340ミリと小振りのため、腰籠の類なのかもしれません。
<03,04,05>側面に周すヒゴを皮・身と相互に編み上げた模様が美しい。
編みが生みだす模様の綺麗さに、ついつい目が入ってしまいますが。
ヒゴ編みの向きを相互に変えるのは、互いの相反する弾力性を利用し、よく締めて強度を増す工夫もあるのでしょうか?


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 ● 背負籠 その2

<06> ショイカゴ   栃木県黒磯市橋本町 / 籾運搬用
<07> アキナイカゴ  栃木県黒磯市橋本町 / 野菜の運搬用
<08> ショイカゴ   群馬県藤岡市
<09> ヤマカゴ    東京都西多摩郡五日市町 / 山仕事、芋の収穫等

<06> ゴザ目と六ツ目が合わさった「ツクリコミ」で堅牢な仕上げ。
<07> 六ツ目の間にさらに1本ヒゴを増した編み。
<09>の編みは<07>の変形型、下部は六ツ目の間にヒゴを2本増した完全な目塞ぎで、紐で負う背部分には力竹を入れて補強。

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 ● 釣具店で見かけた背負籠

拝島の16号線道路沿いにあった釣具屋に置いてあったカゴも<09>形の背負籠です。
福生の骨董市へ行くときに、いつもここの信号待ちでカゴの存在が気になって撮ったものと思われる(2007年)。
盗まれないように針金でしっかり固定されていたようで、さすがに底部分は撮らなかったものの、それでも数カット写しています。
青梅辺りで作られたものでしょうか? 
縁は柾当ての籐巻き、底は筏底。
少し小振りの楕円形で、川釣り用に携行するための汎用カゴなのか、力竹部分にも微妙にテーパーをつけていたり、要所に籐蔓で括っていたりと、なかなか丁寧な作りです。
写真を拡大してみたら、値札があり「日本製大特価 5,800円」とあります。
道路拡張で店が一時期消えていたけど、あれから10年経た現在でもこのカゴを作っている人がいるのか、その存在が気になるところです。
これと同じかたちで、さらに使い込まれてすっかり茶色となった、繊細な編みの背負籠を、かって羽村の郷土資料館の民家で見たことがあります。
二つのカゴを比較できればよいのだけど、撮った写真をどこに保存したものか、使えないのが残念です。

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 ● 背負籠 その3

<10> ショイカゴ   山梨県北都留郡上野原町棡原
<11> ミカンカゴ   静岡県静岡市手越
<12> キノココカイ  長野県伊那市
<13> クワカゴ    長野県飯田市松尾上溝

<10> 山がちの地域で道具入れとして長らく使われたものか、細長い(径305×高さ450ミリ)茶色に変色した背負籠。
<11,12,13> ミカン、茸、桑などカゴの呼称にそれぞれの用途がつけられもの。
<12> 口縁部は返巻編で、プラスチック・テープを使用。
<13> 養蚕用の桑摘みであるクワカゴは10貫用(1貫=3.75㎏)で高さ750ミリと大型、重心を上部に保つため、重量に耐える丈夫な紐環が下に付く。


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 ● 背負籠 その4

<14> オイコ      富山県氷見市伊勢大町 / 茸採り用
<15> セオイカゴ   山口県大津郡油谷町久津 / 野菜の運搬用
<16> クワツミカゴ  愛媛県大洲市柚木 / 桑摘み用
<17> カルテゴ    熊本県水俣市湯出
<18> カルカゴ    鹿児島県鹿児島市西桜島二俣

<17> 「カルウ」とは「背負う」という土地の語。上部に丈夫なタガ(箍)が付き、そこに負い紐を結ぶ。
<18> よく見ると、背当てに薄い布団が付いている。背を守るそんな使い手の工夫が見られる。
<16> 縁巻きに青いプラスチック・テープが使われている。
納品用(高度経済成長期終焉のころ)に敢えて上等なものをということで職人さんが気を利かせたものらしい。

竹や蔓、木質など自然素材を用いる編組品は、基本の編みはあっても、それぞれ一つずつの材の特性を見極めながら編むので、どれもが一様というわけにはいかない。
その反面、新素材であるプラスチック・テープなどは、節目がなく幾らでも長い材料がとれるので、一様に編むことが可能です。
新素材は廉価で、(一時使いで長く使わなければ)丈夫で耐久性があり量産に向く。
高度成長期以降、いち早く新素材の製品へと移行していった道具類。
そんな経緯は竹細工にあっても同様にみられます。
資料室には沖縄のティル<23の類>、帯紐部分が藁やシュロなどの自然素材以外にも、当時流通しだしたビニールテープなどで使用者自らが編んだものも少なからず見られます。
ティルなどの、負い紐を額に当てて担ぐ方法をとる背負籠では、新素材は当たりも柔らかく勝手が良くとても便利だったはず。
なんといっても色や模様を自在に編み出すことができてお洒落です。
ただ、収蔵後すでに40年以上が経過すると、プラスチックやビニール部分はどうしても自然崩壊してしまい脆くなっています。
竹細工の道具のように修理しながら長らく使っていくことが出来ず、壊れてしまえば一向にごみにしかならない新素材ながら、適用適所に長けていてやはり便利です。
農具として使われているカゴ類には、使用者自らがビニールテープやビニール被りの電線で補強したものも多いです。
背負籠の負い紐の素材としても強度があるから、麻縄や藁縄などと同じくよく用いられています。
背負籠は、笊や箕、篩といった誰もが使う共用の農具とは異なり、紐の長さも自分の身丈に合わせて微妙に調整していかなくてはならない点もあってか、個としての使用頻度が高い道具らしく。
その為、個人所有という差別化のためか、裂織で編む負い紐などの部分に、もんぺの柄にみるような微妙なお洒落が伺えます。
職人が作るカゴ部分とは別に、裂織などの負い紐の編みは草鞋の編みとも共通していて、誰もが労せず容易に作れた面もあります。
実用の道具としては、海外のものに比べおしなべて装飾性が少ない日本の農具や漁具ですが、やはり個人のものとしての愛着のかたちがそんな箇所に現れるのでしょう。

クラフトものとしては、自然素材の道具は本物志向らしく、どこか持てはやされている現在です。
当時から、新しく籐蔓や針金などの登場によって、編みの面でも少なからずカゴのかたちに影響を与えた点も多くあったこととおもいます。
自然素材と新素材との兼ね合い。
当時と比べ、身の回りの生活環境やスタイルがすっかり変わってしまった現在。
カゴなどの道具を、どのように日常生活で受けとめていくか、考えさせられる点が多いです。


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 ● 背負籠 その5

<19> カリテゴ    熊本県阿蘇郡阿蘇町
<20> カルイ     宮崎県西臼杵郡高千穂町
<21> テル      鹿児島県大島郡奄美大島
<22> ティル     沖縄県国頭郡国頭村奥
<23> ティル     沖縄県国頭郡国頭村奥

<19,20> カルイは口広扁平で、その編みも日本の余所の地方には一切類例がみられないこの地方独特の背負籠。
<21,22,23> 日本でも沖縄に連なる島嶼部では、頭上運搬(主に女性)や、肩紐で背負うのではなく、頭部の額に負い紐を当てて担ぐ方法をとる背負籠(主に山間部にて)がみられます。
底の編みの影響か、奄美大島と沖縄のカゴではかたちも幾分違っています。


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 ● 背負籠 その6

<24> 三角ショイカゴ  福島県双葉郡双葉町新山広町 / 山菜、農具運搬用
<25> ショイカゴ    静岡県加茂郡南伊豆町
<26> 背負籠      愛知県西加茂郡小原村大阪
<27> カクセオイビク  長野県茅野市

いずれも角ものの背負籠。
<24> は名前の通り三角柱のかたち。
<26> の網代編みも一風変わっている。


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 ● 背負籠 その7

<28> タガラ    福島県双葉郡双葉町新山広町 / 堆肥、苗運搬
<29> タイヒカゴ  長野県伊那市 / 堆肥運搬用
<30> 背負籠    石川県
<31> 肥負カゴ   岡山県真庭郡勝山町月田
<32> 背負籠    岡山県真庭郡勝山町月田
<33> トリノス   山口県阿武郡須佐町
<34> トリノス   山口県阿武郡須佐町

いずれも堆肥などの重量物を負うための工夫がみられるカゴ。
背当て部分が大きく上部に突き出ていたり。(頭部を土砂などから防ぐ工夫か)
口広の逆錐形は重心を丈夫に保ち負いやすくしている。
トリノスという名前が秀逸で、木の枝と藁縄でもって編まれた堆肥籠(背負籠)などには、ほんとうに鳥の巣らしくみえるものもある。


これまで各地の背負籠を並べてきましたが。
残念ながら、自分が育った時代と地域では、背負籠が日常的に使われている姿を目にしたことがありません。
最後に、参考までにカゴを負う写真を見てみることにしましょう。


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 ● 背負う風景 その1     『忘れえぬ戦後の日本』  写真; 薗部 澄 ぎょうせい 1988年  より。

タキギ取りの子供   香川県小豆島内海町  昭和30年
背負カゴの中の子供  神奈川県小田原市   昭和30年


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 ● 背負う風景 その2     『忘れえぬ戦後の日本』  写真; 薗部 澄 ぎょうせい 1988年 より。

取手駅のカツギ屋   茨城県取手市 昭和37年

むかしは、早の東京駅で、千葉方面から来ていた担ぎ屋のおばちゃん達をよく見かけたものですが、現在でもまだそんな風景が残っているのでしょうか・・・・・・・・・・。



結局、家のものと同じかたちの背負籠はなかったけれど、やはりぞろりと並ぶと面白い”づくし”ものです!  (^O^)  



  1. 2016/10/26(水) 13:23:10|
  2. 民具
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