うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

290 「火の山のマリア」











レンタル新作DVDで何気なく借りてみたのがこの作品。









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 ● 「火の山のマリア」 ハイロ・ブスタマンテ監督  2015年 グアテマラ。



毎度、いつもお馴染みのジャケ借りだけど。
そういえばこの映画、昨年あたり映画館にあったチラシに見たような気がします。


映画チラシのストックをみてみると、やはりありました。
今年2月に岩波ホールでロードショーされている。
グアテマラ出身の新人監督のデビュー作ながら、なんと第65回 ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しています。


自分にとっては映画はおろか、まるで馴染みのない中米の国グアテマラ。
複雑で鮮やかな織りの女性の貫頭衣・ウイピールなどの服飾品や染織品を、一度埼玉の遠山記念館の展覧会で観たけれど・・・・・・・・・・・・。


**ブログ№045 虹をまとう グアテマラの染織 

http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-45.html


確かに、先住民の人たちを描いた結構民族衣装もバリバリの映画のようです。




「グアテマラの神秘的な自然、太古から継承してきた伝統文化と現代文明の狭間に生きる、先住民の現実」

「自ら選んだ『幸せ』のために闘う少女と、我が娘を守らんとする母親の普遍的な『生』の物語」


17歳になるマヤ人のマリヤは、農業を営む両親と共に暮らしていた。
一家は貧しく、作物を収穫できなければ借地を追い出されてしまう厳しい境遇におかれていた。
底でマリアの両親は、地主のイグナシオにマリアを嫁がせようとする。
しかし、マリアはコーヒー農園で働く生年ペペに惹かれており、ある日、彼の子どもを宿してしまう-。

              ・・・・・・・・・・・・・・ 映画チラシより。



さてどんな作品なのかなぁ、そして期待のほどはこれ如何に?









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 ● 日々の労働がドクメンタリー作品のように描かれています。



地方色、民族色がかなり強い作品ながら、ストリー自体は不貞が原因で招かれる悲壮譚で。
この国が抱える社会問題を垣間見るシーンは、ときどき見られるものも、映画としての満足度でいうと個人的には微妙なかんじでしょうか。



冒頭シーンから、豚をブヒブヒ云わせ、強引に引っ張ってきて種付けさせたり。
つづいては豚の調理で、刃物で喉元を刺し屠殺させ、毛焼きして解体したりと農村での日常の生活のシーンの連続です。


それでも、『木靴の樹』エルマンノ・オルミ監督(伊)や、『鉄くず拾いの物語』ダニス・タノビッチ監督(ボスニア)の映画の作品にみるように、淡々とした日々の暮らしの描写が、まるでドキュメンタリー映画のような臨場感に溢れており、その点ではなかなか面白い作品でした。



そして、いつもの悪い癖で、映画のストリー半分、画面に写されたもの半分のかんじでの鑑賞となりました。



僻地の農園、厳しい環境、過酷な労働。
女は労働の際にも日常的に民族衣装を着ており、どうにか民族としての沽券を保っているけれど、男に限ってはどこの国とも似た状況でズボンにシャツ姿で既に完全な洋装姿です。


貧農ゆえ、いずれも衣服のあちこちに継ぎ接ぎと破れがみられる、とてもくたびれた哀しさながら。


博物館のなかで鑑賞品としての衣服を見るのではなく、色あせ具合や布自体の草臥れ具合が、労働着としても理に適っている様子が窺え、やはり動画で得る情報量は多いです。

袖の縫い合わせ、首周りの袷せなどの縫製の具合より、貫頭衣の衣服としての動きやすさが確認できます。


主人公のマリアの貫頭衣の袖は、しっかりとした半袖の筒袖なのですが。
マリアの母親の衣裳では、袖下の脇の箇所が、がっぱりと割れて開いていました。
動きやすいように敢えてこうした作りなのか、ただ破けて破損したままなのか、いまひとつ判然としません。



薪や籠を頭に載せての頭上運搬、背筋がしゃんとして伸びています。


籠はタケの身を使ったもので、立ち上がり部分を折り曲げた桶状で鋭角的なゴザ目編み。
大型の籠は、網で覆い頭上での手の掛かりをよくしている模様。
ほかにもコイリング技法のトウモロコシ皮素材の籠がみられます。


隙間だらけの板張りの母屋、台所には食器や厨房用具などが並び。
壁に亘した針金に引っかけた、琺瑯製の緑や水色の鍋蓋が、そこだけ暗い屋内で鮮やかに輝いています。









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 ● 霊導師による祈祷のシーン



怪しげな人形に葉巻を吸わせ、祈祷する霊導師。
つづいて霊導師自らが葉巻を吸い、その煙を被験者となるマリアへ浴びせます。


先住民の間で古来より受け継げられている、どこか謎めいて不気味な土着な信仰。
いまでは嗜好品とみなされるタバコも、その発祥はもともとがこの地。
このようなシーンをみると、タバコも本来は儀礼的な役割が強かったものと感じられます。


ほかにも、霊導師が香炉を燻させ散煙させていますので、煙のもつ役割がとても重要そうです。









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 ● 物語は思わぬ展開を見せ・・・・・・・・・・。



妊婦が大地を踏むと蛇を退治できるという俗信が徒となり、蛇に噛まれ倒れたマリア。


急拵えの木組みの橇で引きずられ、やっとのおもいで町場の病院に辿りつき診てもらうも、ゆくゆく招かれる散々な結果。


スペイン語が理解できず、病院で言われるがままにマリアの指で捺印した契約書。


失った赤児の墓とともに植えられた樹木は大きく育つといわれる。
堕された赤児はいったいどこへ消えたのか? 
赤児の棺桶の中には、ごとりと重たい煉瓦が1個、布に包まれ替え玉に・・・・・・・・・・・・・・。




なんともやるせないシーンの連続です。








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 ● エンディングの正装シーン。



髪をしっかり整え、耳飾り、首飾り、ベールで顔を覆っての幕閉めです。










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 ● 『髪飾り帯』(シンタ)   グアテマラ   木綿 縫取織  幅20×長さ3200ミリ。









グアテマラ映画、つかの間ながら先住民の世界観に触れたひとときでした。  (=_=)  











  1. 2016/09/12(月) 23:42:24|
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