うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

282 ときめく化石









しっかりと夏ですね、


子ども向けには夏休みの定番といえる人気者、妖怪、恐竜、昆虫などのイベントが盛んのせいか、図書館の新着本コーナーにもその手の書籍が目につきます。

いつまでたっても大人気なくちびっ子の気分で、ついつい借りてみたのが文字を追わずして画をながめて愉しめるムック本。
切り絵風のイラストと美しい写真 + 「ときめき」の巻頭詞にまたしてもやられてしまいました。


この山と渓谷社の、自然にココロときめく新しい図鑑「ときめき」シリーズは、ほかにも鉱物、星座、コケ、小鳥、きのこ、カエル、チョウ、猫のテーマのセレクトで、今後も誘惑の罠にかられそうな気配が濃厚です。










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 ● 『ときめく化石図鑑』 文:土屋 香、監修:土屋 健  山と渓谷社 2016年。








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 ● カンブリア紀の古生物、なんとも奇抜な姿のカンブリアモンスターたち。



  <*左上より右方向へ>



ハルゲニア     カンブリア紀   幻惑するもの

レアンコイアリア  カンブリア紀   長い鞭使い

マルレア      カンブリア紀   優雅な「レースガニ」

オパビニア     カンブリア紀   5つ眼のモンスター

トリアルトルス   オルドビス紀   保存は随一の三葉虫

ネクトカリス    カンブリア紀   2本腕のイカ




ゲジゲジのような多足のもの、イカの先祖のようなもの、目玉が5つもあるものなど、
しげしげと見てみると古生物、いずれも実に多様でユニークなかたちをしています。


本書では、そんな古生物を愛称でもってカンブリアモンスターと呼んでおり。
そんなカンブリアモンスターの代表格の奇抜なスターとして掲げられるのが、ハルキゲニアです。
長く伸びた背のトゲと、これまた体の下に伸びた長い脚、それぞれ揃った7対を、2015年に尖端にある眼と口が発見されるまでは、前後上下(トゲと脚)をあべこべにとらえて復元されていた模様です。
新しい発見がなされ生物の姿が明らかになる楽しさをかんじさせます。


そして、古生物の色は大抵わからないともいいます。


色鮮やかな熱帯魚のように、体色や模様が異なるだけで個種の印象もがらりと変わります。
想像するにこんな生きものが目前に出現すると考えただけで、かなりのわくわくものです。


本書の著者の他著として、もし古生物が生きていたらどのように”飼えばよいか?”
そのような面白い空想の視点から古生物を紹介する図鑑『「もしも?」の図鑑 古生物の飼い方』の古生物の関連本があり。
こちらも古生物の魅力と面白さを知るのに是非チェックしてみたいオススメ本といえそうです。









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 ● アンモナイトのいろいろ。



  <*左上より右方向へ>



ルドウィジア    ジュラ紀    くっきりとした筋

プラセンチセラス  白亜紀     輝く宝石

カロセラス     ジュラ紀    遊色のモザイク

ダクチリオセラス  ジュラ紀    かってヘビと考えられていた石

ニッポニテス    白亜紀     日本代表の異常巻きアンモナイト




アンモナイトもただの渦巻き貝にあらず、いろいろなタイプがみられます。


ローマンガラスと同じような経年変質の風化による銀化現象でしょうか。
赤、緑、青、黄などと、宝石と見間変えるほどの遊色(殻の表面の虹色の輝きのこと)アンモナイト、プラセンチラスやカロセラスなどは、その余りの美しさに脱帽ものですし。
ほかにも殻の内部の空洞に至るまで黄鉄鉱化した、金色に輝くものもロシアから出土したり、自然の造形の不思議さを実感できるものも少なくありません。



そしてニッポニテスは、その名前の「日本の化石」の如く、日本を代表するアンモナイトです。
まるでとぐろヘビのような立体的に複雑な異常巻きを形成する固有種は、海外でも人気の華だとか。

旧ソ連の学者が来日した際に、その特異なニッポニテスの姿を見て、ぜひ譲って頂きたいとの話しに、その代価として「北方領土と交換ならば」といった逸話も残っています。


ニッポニテスの捻りに捻った、余りにこてこての様相は、やはり自分としてはどうも苦手で、蚊取り線香のようにシンプルな一重巻きのほうが好みながらも。
希少性あってのはなしながらも、ひとの好みはいろいろで面白いものですね。



ダクチリオセラスは、かってヨーロッパではアンモナイトはヘビの死骸と考えられており、蛇石と呼ばれお守りとされた背景があり、写真のものも殻の端をあえてヘビの頭に加工して彫られています。
実際にはイカのようなかたちの多足の本体が納まっていたはずのアンモナイト類なのですが。
確かにこうなると、すっかりとその暗示にかかり、とぐろを巻くヘビの姿以外には見えてこないから不思議です。


生きもの本来のかたちを維持した完体(完全標本)が出現し、正確に同定できる前段階までは。
部分標本からさまざまな推測のもと、捻出される生きものの全身像には、時には余りに実像から離れ、とっぴょうしもない姿に変えられ描かれたりもし。
化石による復元図製作の奥深さをかんじさせられます。
現代人の脳では読み込めない謎が多い分、フアンにとっては想像させる古生物像の多様性にも繋がり、その点も含めたまらない魅力となっているのかもしれません。










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 ● 機械の部品のようなかたちのものもあったり・・・・・・・・。



  <*左上より右方向へ>



アルキメデス       白亜紀       スクリューのような形

ディディモグラプタス   オルドビス紀    あごのような形

エドリアスター      オルドビス紀    ヒトデがのった円盤形

ジンバクリヌス      ペルム紀      くるくる巻いた腕形


有孔虫の殻        顕微鏡やルーペで確認しなくてはならない「微化石」(余りにも小さな化石)




それぞれ、コケムシ、筆石、座ヒトデ、ウミユリに分類。



どう見てもぐるぐる螺旋状のネジ以外に見えない姿である、コケムシの「アルキメデス」は、ギリシャのアルキメデスが着想した水汲みスクリューに依ったネーミングで、その由来が面白い。

そして生きものがみせる完璧なまでの構造美は、まさに自然の芸術、そのかたちが地層にきれいに残っていて改めて感心させられます。



有孔虫のしっかりと星形をした化石。

八重山の竹富島の白浜名物として有名な「星砂」も、この写真とそっくり同じかたちで、有孔虫の殻である微化石でした。

資料館の写真パネルにも、星砂は岩石としての砂ではなく、その正体は有孔虫の殻の化石としっかり解説されていました。

観光みやげとして有名な星砂は、当時にして既に観光客による乱獲で白浜から消滅していたらしく。
どこぞの海底(西表沖だったか?)より汲み上げたものを白浜に散布したものであると、その裏事情を後に知りました。

観光ムードにのせられて、気付くと目をこらし、芥のなかからようやく数粒見つけ出す厳しいながらも楽しい星砂狩り。
最悪の効率ながらも、無邪気な気分で盛り上がり実に愉しかった瞬間です。

ただビーチの売店で小瓶に詰められ売られている星砂(300円ほどだったか)のその量を、件の白浜で漁るのに「いったい何日かかるのか?」と、土産品の価格設定がどこかおかしいともおもったはずです。

どうやらうがった詮索なしの「知らぬが仏」の星砂狩りが、正しい観光の在りかたのようです。

同時に学術的に云々ではなく、まずはロマンでもって生きものに接すること。
入門者には、まずは謙虚で素直なこころが一番と悟らされました。









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 ● こちらは化石の代表選手ともいえる恐竜化石の完全体。




格闘恐竜の化石   プロトケラトプス(草食)とヴェロキラプトル(肉食)

始祖鳥       ジュラ紀   鳥と恐竜の中間

スキウルミムス   ジュラ紀   保存状態が最高



翼竜の羽根や微細な毛までも、しっかりと確認できる完全体の化石標本。
ポンペイの遺跡にみる当時の人々が日常生活の動きのままの姿の遺物のように。
躍動の一瞬を封じ込めた恐竜の格闘シーンは、まさに生きものの生き様のタイムカプセルともいえる驚くべき姿です。
博物館に整然と展示された恐竜の骨格標本とは異なり、いずれも生きものとしての躍動感に満ちていて素晴らしい資料です!










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 ● 歯のいろいろ



デスモスチルス   新生代新第三紀    海苔巻きを束ねたような歯
   (* 現在の哺乳類とは全くことなっているため、その生態は依然として謎のまま)

グロピデンス    白亜紀        キノコのような形の歯
   (* 貝などの硬い殻を砕いて食べていた)

メガドロン     新生代新代三記    ギザギザした鋸歯
   (* ギザギザした鋸歯で硬い皮も切り裂くことができる)




化石手帳「歯のいろいろ」のスポット・コーナー。


トピックでクローズアップされた恐竜の歯の部位も、なかなか面白い。
いずれも食性の用途に適して生まれたかたちながら。
まるで知識をもたずそこだけみると、いずれも実に不思議なかたちをしていて、にわかに歯とは信じられません。
どこかの民族同様に、ちょっとアクセの装飾品として首から吊げてみたいほどの魅力的な造形ですね。










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 ● 植物の化石



マリオプテリス   石炭紀    「シダ」なのに裸子植物

シギラリア     石炭紀     丸い模様が並んだ幹

レピドデンドロン  石炭紀     魚の鱗のような模様



葉や茎などのもつ、いずれも微細な形状を地層が写しとった植物化石。
動物ものと同様に、植物ものの化石のほうもなんとも捨てがたい。
化石化した地層部分の微妙な色合いも淡く美しく、その質感はまるで彫刻作品に触れているようでうっとりします。


シギラリアやレピデドロンのシダ植物は、その高さが30メートルを超えるとても巨大なものであったとのこと。



その植物の巨大さは、ひとむかし前のチェコ映画、カレル・ゼーマン『前世紀探検』1955の恐竜映画でみた、太古のジオラマの世界を彷彿とさせます。

自分の体がまるで蟻ん子のように小さくなって、いろいろな種類の恐竜やこんな巨大なシダ植物が聳える密林のなかを彷徨する感覚。
タイムスリップしてそんな空間に晒されてみたいものです。


現代のCG技術バッチリの特撮映画よりは、ひとむかし前の映画のほうが、稚拙な特撮技術ながらも、空想ものとしてはより大きな夢を与えてくれたような気がします。


改めてゼーマン作品も見直してみなくちゃ!










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 ● 化石グッズのいろいろ



本書にあった、ちょっとしたお愉しみ、化石グッズのコーナー。
いったい誰のアイディアなのかミュージアムグッズも一昔前にくらべ実に多様です。



ヴィヴィッドな色づかいの「アンモナイト消しゴム」は実物標本よりの型起こし品。
筆箱のなかに納めても様になり、これは結構欲しいかも。


肉食恐竜の「ティラノサウルス マグネットクリップ」、大きな口でもってかぱっと紙をはさむのもご愛嬌といった商品。


極めつけが「恐竜カット焼きのり」。

地と背景の2WAY使いの優れもの。
おにぎりに海苔弁にアレンジも変幻自在。


なんでも、日本固有のクビナガリュウ類フタバスズキリュウ(上野の科博の天井に吊っているものでしたか?)が入っておりマニア垂涎のマニアックな構成なのだとか。

小さなボクのお弁当としては夢があり嬉しいけれど、お父さんのお弁当として一緒に持たされたなら、周囲はかなり引いてしまうかも。(^-^) 

海苔食い文化のない欧米圏では、まずもって考案されないミュージアムグッズながら。
商品開発に真剣に取り込むプレゼンシーンも目に浮かび、アイディアを出し製品に漕ぎつけたその流れに、蔭ながらエールをおくりたいとおもいます。


そして「白亜紀の恐竜たちクリップ」は、誰でも知っているおなじみの三恐竜、ティラノサウルス(肉食竜)、トリケラトプス(草食竜)、プテラノドン(翼竜)のセレクトでした。









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 ● 街中に眠る化石たち



写真(上)は本書掲載の日本橋三越本店の化石たち。
アンモナイトやベレムナイトなどの化石が壁や床に入っています。



そういえば、学生時代のゼミの新歓遠足で上野の国立博物館に出向き。
なぜか階段の踊り場の壁面や床の大理石のタイルのなかに、皆で化石探しをしたことがありました。

そのときに観た博物館資料の記憶はすっかり失せてしまい、まるで残っていないけれど。
アンモナイトを見付けすっかり興奮した思いは、健在で鮮明に残っています。


その点を踏まえ注意していると、建物の身近な建材に隠れた化石も結構見付けられるものです。



写真(下)は、展覧会でたまたま休息した椅子の足下が大理石タイルで、眼がすっかり化石モードになっている現在、よく見るとマーブル模様にまぎれてアンモナイト(直径70ミリほど)が確認できました。<相模原市市民ギャラリーにて>



建物に潜む化石探しは、資料館で展示資料として化石に触れるのとは、また一風異なった楽しみがありよいものですね。










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 ● 「生きてる化石」



上 ; 三葉虫と生痕化石(這い跡)の展示、 国立科学博物館(東京都上野)より。

中左; メソリムルス   ジュラ紀   1億年以上も変わらないかたち。

中右; 皇帝廟の鼎の浮き彫りにみるカブトガニ   ヴェトナム、フエ。

下 ; 市場で炭焼きされるカブトガニ      タイ、トラート。



「生きている化石」といえば、コモド沖で捕獲された”シーラカンス”のイメージが、やはり強いながら。

よくよく考えれば、日本では天然記念物扱いされているカブトガニも、古生物の三葉虫などとよく似た、古い形質を備えた節足動物です。

本書ではジュラ紀のメソリムルスというカブトガニが掲載され、一億年前から現代でも形をほとんど変えていないため、カブトガニ(現代のアメリカカブトガニとそっくりらしい)を「生きた化石」とよんでいます。

その解説には「現在のカブトガニは意外と泳ぐのが上手で背泳ぎができます。」とあり、
筋肉構造が現在のカブトガニとよく似たメソリムルスもおなじように泳げたと推測されています。

カブトガニの背泳ぎ姿など、ちょっとおもいもつきませんでしたが、逆さにすれば確かに舟のようなお椀形だから、波間をぷかぷか漂うには都合がよいのかも!?



ヴェトナムの皇帝廟の、青銅製鼎の浮き彫りにみるカブトガニは、親亀の背中に子亀が乗った状態で二匹のカブトガニが波濤を泳ぐ様が描かれています。

この皇帝廟の鼎にはさまざまな天変地異、動植物などが描かれており。
私たちには判読できないチュノニム(国字)なのか随分変わった漢字も充てられていました。

ちなみにカブトガニには「學のかんむりのしたに魚」の文字+「魚」の二文字表記でした。

兜の殻より小さくのぞく二つの眼も正確に確認でき、とてもリアルな描写です。
隣の写真のメソリムルスともそっくり同じ姿です。



国内ではカブトガニの実物を見たことがなかったものの。

なぜかカンボジアにほど近いタイの田舎町トラートの市場で、カブトガニが食用として、しっかり売られていました。

写真のお姉ちゃんが手にしているフライパンのようなものが、実はカブトガニでして。
尻尾を柄がわりに持たれ、逆さにされ七厘で直火焼きされていました。

カブトガニは蜘蛛に近い仲間と聞いたことがあります。

さすがに火あぶり刑はカブトガニにとっても地獄の苦しみなのでしょう。
細く長い手足が、死にものぐるいの蠢動をみせ、映画初代「エイリアン」に登場する化け物のごとくのたうちまわっていて、かなりホラーな様相でした。
涼し気な顔でもって、バタ足カブトガニを的確にさばくお姉ちゃんも強烈でした。


トラートの沖合に浮かぶチャン島では、アオ・プラ・ナンという入り江にある漁師の宿を利用していました。

豊かなマングローブ林の環境は、海にせり出し高床となっている家屋下に仕掛けられた罠に、潮が満ちるとガザミ(蟹)などと一緒に、カブトガニも捕獲されていました。

実際にまじまじとカブトガニに触れてみてのご対面、外殻の上部、こんなところに離れた二つの小さな眼を発見して、未知の生物とのにらめっこ状態がしばらく続きました。









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 ● 化石のコースター    径85×7ミリ。



模様の美しさと、封じられた時のロマンに惹かれ、むかし黒姫の博物館売店で求めたもの。
いすれも、よくは分からないものの何かの化石らしきものが綺麗な模様となってみられます。

コースターらしく、表面はしっかりとニス塗りされた加工製品でした。
その妙な照かり具合がちょっと嫌で、ペーパーで擦ってマットにして使っています。
重く滑りやすいので、夏場の冷たい飲み物を入れたグラスを乗せるにはどことなく不向きなコースターです。

上の白いほうは塩壺置きに長らく使っていたら、しっかり塩気がしみ込み風化して、ボロボロとなってしまいました。
どうやら砂岩状のベースに化石が埋もれていた模様です。


強固なニス塗りの意味も、その点にあったのかと改めて納得です。









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 ● 「うちの化石たち」



アンモナイト(大) 130×100×47ミリ、(小) 13×9×4ミリ。

大きなものと小さなもの(蜆貝より小さい、すこし銀化している)では雲泥の差があるアンモナイト。
それでも、アンモナイト特有のぐるぐる巻きの貝の形がはっきり見られます。


大きなほうは、父がどこからか貰ってきたものか?
北海道(地域によっては結構アンモナイト化石が出土する)の実家の玄関の靴棚の上で盆景の置物となっていたもの。


小さいのは、テラハウスという化石屋に勤めた先輩から昔いただいたもの。
たしかアメリカ産だったはずです。


いずれもデーターが不詳な化石で、標本的な価値はないものですが、
石化したもののもつ重量感とともに、時の流れに想いをはせる楽しみを十分に与えてくれます。
古もの好きとしてはこういった自然物も、古道具のように手でさすりして結構愛でて気に入ってます。











化石モードのスィッチ ON! まずは身近な建物の建材から化石探しにトライしてみることにいたしましょう!! !(^^)!   










  1. 2016/08/04(木) 22:43:46|
  2. 雑 閑
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