112 似たもの同士 椅子・その1
- 2014/04/16
- 17:25
前々回のお花見記事 ”110 小椅子を持って”http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-110.html に持って行った、中国の小椅子と、ほとんど同じかたちの台湾の竹椅子がありますので、今回はふたつ並べて、その造作を比較してみたいと思います。

● 「似たもの同士」 親子の関係のように、大小と大きさこそ異なりますが、ほとんど同じかたちの椅子ふたつ。

● 左; 「椅子」 竹製、 中華民国 台北市 採集 幅308×270×高さ185ミリ。
右; 「椅子」 木製、 中華人民共和国 雲南省 採集 幅190×130×高さ185ミリ。
以前に触れたように、中国の木製椅子は、雲南省の青空市で、蒸籠売りのおじさんが使っていた自製品です。
そして、今回紹介する竹製椅子は、台北市内の荒物屋で求めたものです。
1996年の春の旅行で木製椅子に出逢い、味をしめ・・・・・・・。
さらに同じ年の夏の短期滞在の台湾旅行では、偶然迷った路地裏で、土地の人びとが、このような竹の座椅子で涼んでいました。
「ああ、欲しい」という、いつもの物欲に駆られ、一軒の荒物屋の店先で、まだ青々とした、青竹製のこの座椅子に出会いました。
この竹椅子は旅の最中での活躍はありませんでしたが。リュックひとつの軽装旅でしたので、そのまま椅子を片手に機内持ち込みにして持ち帰りました。
* まずは、左;を「竹椅子」、右;を「木椅子」として写真に納め、お互いの作りを比較してみましょう。

● 椅子の座面は、竹椅子・木椅子の両者とも、同じように竹のヒゴをならべています。
竹椅子のほうは、竹をササラ状に細かく裂いて部材を得て。
木椅子のほうは、同じ竹でも笹に近いような細竹を二つ割りにしたものを筏状に並べています。
両者とも、皮竹を座面側として、その張力を活かすように、側枠と裏面の桟で留めており、多少ですがゆるやかな山なり形をなしています。

● 脚になる部材は一部を曲げて作られています。
竹椅子は皮竹を残せば簡単に曲げられます。木椅子は、材そのものが楊やトネリコなどのように曲木に向く、軟材の樹種のようです。

● 基本の造形は、差し組み構造で、部材の留めのために要所に竹釘を使用しています。
竹椅子の座面の桟は、材を立てて差し込み、しならなく強度を保つ工夫がされています。
。鋸と鉈でもってバシバシ組み立てていくようで。
当たり線の代わりに鋸目が挽かれ、飛び出た竹釘の部分も、鉈でもってバサッとならしています。
木椅子の組み込みは、収まりやすいように先端を少し削りテーパーをつけています。
また、曲木箇所の材が、簡単に外れてしまわないように、木ぐりを入れて固定する作りにしてあります。
いずれも、大雑把で成り行きにまかせて仕上げているような感じも受けますが、双方を比較してみると、竹や木材の特製を活かすような工夫がなされていますね。

● 四面から見てみると、こんなかたちです。一見、真四角にみえても若干横幅が大きくとられています。
これらの座椅子は、大きさ的にも「子どもの椅子」といったかんじなのですが、以外や、この風呂場椅子のようなサイズが、しゃがみ姿勢を得意とする、アジアの私たちにとっては微妙に便利で楽な具合のようです。
願わくば、これらの小椅子、コンビニ前でたむろする若者の皆さまにも、是非使って頂きたいものですね! (^_^)