うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

024 唾棄すべきもの 痰壺

 ★ 今回はタイトルからして、汚く厭な内容になりそうです、ご勘弁!(-_-)


 必要の有無に関わらず、時には手を出してしまうガラクタ買い。かなり錆錆のこの容器を見つけたとき、先ずは「花器」を連想させました。しかしながら素材が青銅製の鋳物でないことと、このずんぐりむっくりの形状から、ちょっと厭な連想に結びつきました。造りは綺麗ながらも、ひょっとして『痰壺?』。店のオヤジから何気なく出述を問うたところ、「歯医者からの出物とのこと・・・」。確証は無いながらも、何というのかなぁ。抜歯した歯を捨て空けたり、血だらけになった口の汚物を捨て吐いたりするための容器なのかも知れません。家に持ち帰り、異様に錆び付いた汚れを、風呂に浸かりながらクレンザーで落としてみると、現れた金色の素地。金銅を型抜き旋盤整形し。高台・胴部・口鍔の三カ所のパーツ部分が丁寧に銀蝋付けしてあります。用途を知らずに素材や形だけを見てみれば、洗練されていて結構美しくも思えます。唯、何に使うのかをハッキリ知ってしまうと「ちょっと~」と確実に躊躇してしまいます。よく溲瓶などを外国の方が、花瓶代わりに花を生けたりするように。この唾壺も何かに転用できないかと思いましたが。結局は食事の際のガラ入れにするのにも、あまりにも使用後の洗いが面倒くさそうです。またしても、押入の肥やし、中で眠ったままとなっています。嗚呼。


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● 『唾壺』  金銅製メッキ、 最大経210×高さ175ミリ


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 ● 『唾壺』の蓋?
 蓋が付いていましたが、うまく合いません。ひょっとして別蓋か?


 自分は東京に出てくるまでは、『痰壺』というものを見たことがありませんでした。田舎に居た時に、丁度「スネークマン・ショゥ」の中に『痰壺小僧』が収録されていて。ともかくそのアルバムから流れる、痰壺小僧のストロー使いの音の汚さに随分たじろかされた覚えがあります。私鉄沿線のホームの端に、空き缶のようなものが設置されていて。そこへ、通勤帰りのオヤジなどがペッペとしているのを初めて見て。「そっかぁ、あれが痰壺かぁ・・・」と妙に納得したものです。身体の中の不純物を口とお尻から排出することは人間にとって必然的な生理欲求といえます。現在ではどうかは判りませんが。以前の中国旅行では、路上のあちこちで『痰吐き行為』が当たり前に見られました。大陸特有の大気が埃りっぽく乾燥している状況では無理もありませんが。おちおちしていると、こちらにもかまわず飛んで来て被害を被る始末。美人のお姉さんも平気でやっているので、「できれば余所でやってくれ!」と非常に残念に思ったものです。しかしながらマナーの違いといえども、路上に吐き捨てるよりは、行儀良くこの唾壺へ納めるほうが理に適っているのかも知れません。そういえば、タイでは土地の旅行者が使うような安宿で、琺瑯製の唾壺をよく見かけました。鍔が極端に広がっていない形で、ゴミ箱とも兼用もされているような使い方をされていました。自分は新品を探して持ち帰り、しばらくは食事のガラ入れに使っていました。

 2月に、近頃リニューアルされた、東京国立博物館のオリエンタル・ギャラリーを見に行きました。クメールものの展示ケースに、細長い蓋物のキンマ用の石灰容れと一緒に、金銅製の『唾壺』が展示されているのを見付けました。確かに美しいかたちです。なぜかアンコールの人も唾壺を使っていたと識り、妙に嬉しかったです。


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 ● 東京国立博物館 オリエンタル・ギャラリー 展示より

  唾壺<Spittoon> クメール、アンコール出土<アンコール時代・12~14世紀> 
「唾を吐くための金銅製の壺です。壺部分と受け皿部分は別々に分かれています。均整のとれた形をしており、胴部には細かな草花の線刻文様が施されています。こうした洗練された作行きから、高貴な人物が用いた実用品と考えられます。」




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 ● こちらは北部タイの『バンチェン彩文土器』
 鍔は無いものの口縁部分が少し反ったかたちが唾壺を連想させます。
 東京国立博物館 オリエンタル・ギャラリー 展示より



  1. 2013/05/28(火) 19:12:32|
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