うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

017 さがしています 忘れ形見

 古いモノが好きな人は、そのモノが経た経年変化による風合い、使われてきた来歴、そして、そのモノを使ってきたであろう人をどかこかに想い。そこから物語りが生まれるのかも知れません。

 先日、図書館の児童書コーナーに置いてあった。『さがしています』という写真絵本が目に入りました。 表紙の写真が、長い鎖が付いた鍵の束。古モノ の気配に誘われて、ついつい手に取ってみました。アーサー・ビナード作の文字。ビナードのエッセイはこれまで何冊か読んでいたので。さっそく、開いてみました。はじめの頁に古びた皿時計の写真が現れ、時刻は8時15分で止まっています。一枚一枚の写真が妙に存在感を漂わせるこの本は、じつは広島の原子爆弾投下の遺物のものでした。

 ビナードが、広島の平和記念資料館に収蔵されている展示物に幾度となく向き合い、そのモノたちにひそむ物語を通訳者として言葉で伝えたいと思いたち、生まれた写真絵本。
資料館に収蔵されている約2万1千点の中から14点が選ばれ。それらのモノたちがカタリベとなり、物語が編まれています。彼が、いかに丁寧な取材をして、これらのカタリベたちと向き合ってきたのかが伝わります。「ピカドン」(*土地のひとの原子爆弾の呼称)による突然の悲劇によって、暮らしのすべてが破壊され、命と未来を奪われた人々が残していった、数多くの忘れ形見。これらの写真は、それを知って改めて見直して視ると、余りにも衝撃的で、絶望の余り目を覆いたくなります。しかい同時に、その儚さとは裏腹に妙なる美しさをも包有しているように感じます。逝ってしまわれた方々を偲ぶと不謹慎な発言であることは百も承知しているのですが・・・。これらの忘れ形見には、現在を生きる私たちを惹き付ける何かが在るようです。


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 ● 8時15分で止まった時計

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 ● セツコさんのワンピース

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 ● トシヒコくんのビー玉

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 ● 「ピカドン」に焼かれた人影

  以上4点、
 『さがしています』 アーサー・ビナード 作、岡倉禎志 写真、童心社 2012年 より


 うちの部屋で使っている四角い卓袱台にも、かって誰かが残したコップの輪シミや栓抜きなどの、跡が視られます。まるで四角いカンバスに抽象的な画を描いたような模様を生み出しています。そんな痕跡をついつい眺めていた後に、別なところで、その跡にぴったり合わさるような栓抜きに出逢いました。


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● 『卓袱台の跡と栓抜き』  栓抜き;鉄製、87×35ミリ




  1. 2013/05/22(水) 23:13:37|
  2. 栓抜
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