1282 今日のもよう _006 花一輪
- 2023/09/23
- 17:57

知人のタイ土産で頂いた青い絵皿には、稚拙ながらも古風なやきものを模したような花一輪が描かれている。かってタイの遺跡巡りのついでに、スコタイやスワンカローク、シーサッチャナライの窯跡を訪れたことがあった。チェンマイ近郊のカロン窯のやきものは博物館資料で見ただけだけど、緑釉の描画に特徴があるそれとどこか似ているように思えた。久しぶりにタイで求めたやきもの本<タイ語なんで何が書かれているのかまるで判読不...
1281 画面のなかに _026 糸車
- 2023/09/17
- 11:45

インド国旗の中央を陣取る丸い模様は、チャルカ(糸車)の意匠である。インド独立の祖、ガンディーが自ら糸車を回す姿は、布生産の仕事が村の経済の中心にあることを象徴している。 ● 『CALICOのインド手仕事布案内』 文;小林史恵 写真;在本彌生 小学館 2021年インドの手仕事布の本を見ていたら、そんなガンディーが回す定番の糸車(アンバーチャルカ)の写真とともに、一風かわったかたちの糸車が写っていた。解説にはシン...
1280 モノがたり _366 哺乳瓶
- 2023/09/10
- 10:18

● 哺乳瓶 200×幅70×75ミリ吹きガラスを型に嵌めて仕上げたものだろうか。揺らぐ地肌に気泡を孕み、児乳・牛乳と書かれた朱文字の目盛も、いまでは軽く触るだけで消え失せるほど劣化している。失われた吸い口はどのようなかたちだったろうか。いつの時代にも子の育成を願う親の気持ちは揺るぎない。この9月の4,5,6と、「山中諏訪神社・安産祭り」を訪ねてみた。古来より、子授け・安産の御利益があると言われるこの祭禮は、妊産婦...
1279 モノがたり _365 笠と骨
- 2023/09/01
- 08:31

台湾には沖縄のクバ笠とよく似たかたちの竹皮の笠、「斗笠」がある。その笠骨は、日本の笠には見られない六ツ目編みである。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-1175.htmlそのむかし台北で求めた斗笠の笠骨は、すでにプラスチック製ながらも、しっかりと六ツ目編みを模していた。よく見たらアルゼンチン製の小さなシールが貼られていて、表面を覆う素材もどうやら竹皮ではなくトウモロコシの皮のようだった。チク...
1278 モノがたり _364 醤油入れ
- 2023/08/25
- 07:37

● 崎陽軒 「ひょうちゃん」醤油入れ 43×37×高さ15ミリカレーは水野仁輔、餃子はパラダイス山本、そして焼売にもこんな御仁がいるのだなぁと読んでみる。そういえばこれもあったなと出してみたのが、おなじみ崎陽軒焼売の醤油入れ。こちらは第2代目(1988~2003)原田治のデザインで新しい。ささいな容器ながらも陶製のデザイン・キャラがたのもしい。ちかごろ昔ながらの味で懐かしくかんじたのが、チルドの「ホソヤ 昭和生まれの...
1277 画面のなかに _025 起重機
- 2023/08/20
- 10:17

● 『モンセラートの時祷書』 シモン・ベニング 1535-40年頃 10月;ワインの取引シモン・ベニングによる『モンセラートの時祷書』<1535-40年頃>の10月では、ワインの取引が描かれている。中世フランドルの広場では、木造の独自のかたちをした巨大な起重機(クラーン)が、ワイン樽を荷揚げしている様が目を惹く。そしてよく見ると、その動力には車輪が用いられ、ハツカネズミの運動用の輪さながらに、その輪の中に数名の...
1276 画面のなかに _024 亜麻の繊維取り具
- 2023/08/19
- 17:33

● 上;『ブリューゲルと季節画の世界』 森洋子 岩波書店 2022 下;『スウェーデンの伝統工芸』 アンナ・マヤ・ニーレン 1982 より森洋子著 『ブリューゲルと季節画の世界』の第Ⅱ章<16世紀ドイツの月暦版画>の11月には麦打ちとともに亜麻の繊維取りに励む女性が描かれている。 ● 『ブリューゲルと季節画の世界』より 11月 亜麻の繊維取りの様子上:ハンス・ゼーパルト・ベーハム 1527年中:フランツ・イザーク...
1275 モノがたり _363 綴じ具
- 2023/08/18
- 11:46

ちょっと昔の事務小物が好きだ。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-144.html ● PLUS IDEAL PAPER CLAMPS No1 46×68ミリいつだか見つけたのが一風変わったかたちのこんなゼムクリップ。一本の針金を楕円形に曲げただけの、おなじみのゼムクリップも発明者ゼムの名前がつけられ、いくつもの特許を有するという。ゼムクリップって、ホチキス同様にメーカー名だとは思いもよらなかった。このPLUS社の製品は...
1274 モノがたり _362 水壺
- 2023/08/17
- 15:54

● 水壺 ラオス 径160×高さ300ミリ今年も高砂百合が咲き出してこんなラオスの水壺に活けてみる3段括れのこの形は日本のやきものにはないタイプ素材は素焼の黒陶で、表面の刻釘模様がアクセントとなっている。彼の地の寺院の仏前に、花活けとして使われていたのを思いだす。...
1273 たま号
- 2023/08/05
- 10:58

● たま電気自動車 たま号博物館資料がきれいにレストアされて、自走可能な現存する国産電気自動車としては、最古のものとなっている。 / 日産ヘリテージコレクション市の図書館に貼られていた一枚の案内に、なんともレトロな自動車が写っていた。わずかに終戦後の数年間、こんな国産の電気自動車が開発され、首都圏の乗用車やタクシーなどに大活躍した時代があったという。「リーフ」日産EVのルーツ「たま電気自動車」に迫る * ...
1272 盆迎え
- 2023/08/04
- 09:53

● 盆のつくりもの上京したてのころ、ご近所の民家の戸口にこんなつくりものが並んでおり。これはきっと呪いの人形にちがいないとびびっていた。 ◆ 早馬のごとくご先祖様をお迎えし<馬型> ◆ 牛の歩みでゆっくりとお帰りいただく<茄子型> お盆の行事にうちの郷里ではこのような設えがなかったため、いま思うと笑っちゃう話しだけれど・・・、本年もまた盆の季節を迎えます。近所のスーパーなどでも、いまでは麻殻...
1271 モノがたり _361 ごみ箱
- 2023/08/03
- 10:02

● ごみ箱 下左;東京都墨田区向島 下右;東京都葛飾区 堀切菖蒲園あたり“なぎら建壱”の珍妙なる視点の町歩きフォトエッセイ、『町の忘れもの』ちくま新書 2012年をみていたら。忘れられた風景 「所在ないごみ箱」として「懐かしい石でできたごみ箱を目にした。気にせずに歩いていたら、きっと見過ごしていたに違いない。また、ごみ箱の存在自体を知らない世代にとっては、これが一体なんだったのか、分からないかもしれない・・・・」...
1270 モノがたり _360 鶏公碗
- 2023/07/31
- 10:46

● 鶏公碗 径154×高さ55ミリ雑器は粗雑ながらもときに様々な情報が得られおもしろい。バンコクの迷路のような露地のどんづまり運河端にクズ屋とともに古物屋が並んでいた。どう見てもとなりのクズの山からちょいとめぼしき物を掻き出したような品揃えであった。屋台で使われる丼碗に鶏の絵柄が描かれたものがあったけど、この随分草臥れた碗は、いま物よりは少し前の時代のものだろうか。雑に描きなぐられた雄鶏と芭蕉のような...
1269 モノがたり _359 衛生容器
- 2023/07/28
- 14:02

● 衛生容器 210×170×高さ210ミリ隅置きの真っ白なホウロウ容器は小さな部屋でつかわれたもの。学校が現在のキャンパスへ移ったとき、モダンなデザインで輝いていた女子寮の建物も。自分が入学した時点ではすっかり古び役目を終えて、一般の教室へと改装されていた。語学の教室にはなぜか中央に柱が立ち、みな指名されるのを避けて柱の陰に陣取るも、ここぞとばかり先生にあてられていた。このおかしなつくりの教室はもとは女子...
1268 モノがたり _358 糸巻
- 2023/07/22
- 12:50

● 糸巻 径60×21ミリガラクタのなかに竹を輪切りにしたこんな糸巻をみつけた。自製品らしく縁をなめらかにヤスって仕上げ三つ縒りの焦げ茶色の糸が巻かれている。何に使ったものだろうか~紙縒でとめたそのたたずまいはどことなく釣り具っぽいけど・・・・和式の毛針を用いたテンカラ釣りの仕掛けには、たしか馬の尻毛を縒った糸が使われていたはずだ。ルーペで拡大するとその断面は白っぽいから獣毛ではなく渋染めか、ライターで燃...