うちのガラクタ

古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。

412 ひとフン





知人の展覧会ついでに映画でもということで東京へ。(2018年5月12日)



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 ● JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

本郷の東京大学総合研究博物館で、第一回のヴンダーカマー(驚異の部屋)展が開催されて、もうどれほど経っているのだろう。
古い学術標本のもつキャビネット、ケース、ラベルなども含め、どうもその手の物が有する時代がかった独特な雰囲気の世界に目がない自分。
これらの学術標本を、洒落にトータルデザインしたその展覧会は、忘れ去られた物に息吹を吹き込んだようにとても衝撃的だった記憶がある。

インターメディアテク(IMT)は、日本郵政株式会社と東京大学総合研究博物館の協働による入館無料のミュージアムで、東京駅前のJPタワーの2・3階にある。
東京大学が開学以来蓄積した学術標本や研究資料など、「学術文化財」の常設展示である。

現代の都市空間に再生された古い物が、生命を得て輝いている。
それらは生物の剥製標本、骨格標本、植物標本、鉱物標本、工学模型、民具、信仰具、工芸品、写真であったりと、まるで百科事典のなかを覗くような多様な資料の陳列となっている。
図鑑でしか知らなかったようなものが、二次元的な平面ではなくて実体であることから得られる多大な情報量に感激。
もちろんそれらの各々は学問上は貴重な資料であり、展示でも簡易解説はなされてはいるけど。
親子連れで動物園で楽しめるように、詳しくは知らなくても誰もが楽しめるようなデザイン技術を加味した優れた構成となっているので凄い。
東京のど真ん中で、わざわざ博物館や資料館に足を運ぶような気負いもいらないし。
博覧会黎明期の陳列館といった風情もあってか、一般の見学者のほか、若い親子連れや外国人観光客で混み合っていた。
以前小石川分館で展示されていた時と異なり、展示品は全て撮影禁止のため、細かな資料情報を押さえておきたい自分としてはこの点が随一残念なところ。
開館後数年経過しているようだけど、金・土曜日は20時まで開館しているから今後はもっと利用してみよう。



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 ● 大江戸骨董市      東京国際フォーラム

インターメディアテクの後、東京国際フォーラムで偶然見かけた骨董市。
今日は土曜日だけど、やっていたんだ。
普段は多摩地区の骨董市しか覗かないから、出店の傾向や品揃えの豊かさに目を見張る。
これだけのお店、数時間は時間を掛けられるだろうけども映画の時間がはじまり時間がとれず残念無念。
見るとつい細々したものを欲しくなってしまうから、見なくて正解と言うことにしておこう。
都心の一等地ということもあり、骨董マニア以外にも通りすがりの人も多く、なんだかとてもお洒落な市でした。



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 ● 「映画にみる明治の日本」      国立映画アーカイブ

このあいだDVDレンタルの新作で観たのが 『リュミエール』 ティエリー・フレモー 2017年 90分
これは世界最初の動く動画シネマトグラフを発明した、フランスのルイ&オーギュスト・リュミエール兄弟の映画を選択・解説した映画。
1895~10905年までの工房作品より108本を抜粋、4Kデジタルでリマスターしている。
撮られた当時を思わせる鮮明な画像は、ビデオテープ時代に見たリュミエール作品と異なり画像から得られる情報量は半端でない。

そんな映像を面白く思っていた矢先、この4月より東京近代美術館フィルムセンターより名称改正した「国立映画アーカイブ」の開館記念特集でやっていたのが、今日のこのプログラム。
同じく『明治の日本』というリュミエール社の1作を含む。
この作品は日本で撮影された最古の動く映像で。
舞踏、音曲などを中心に、異国の目からみた新奇な日本の文物を、どこかコミカルに撮った雰囲気の作品。
田車を用いた苗床の水入れの様子や、イグサ製のボッチガサを被った姿での田植えの農作業などの風景や、町場に行き交う人々の服装に、開館記念の趣旨”明治の日本”を感じさせる情報も少なくない。
メモをとり繰り返し観てみたい作品だ。

『紅葉狩』(左下)は現存する最古の日本映画で、2009年に映画フィルムとして初めて国の重要文化財に指定された。

今回のプログラムの計73分は、確かに歴史的アーカイブとしてはいずれも貴重な作品ながら。
いわゆる映画好きのハートをを掴むほどの内容に感じられないのか、ときどき凄い高鼾が聞こえてくる。
サイレント作品ということもあって、睡魔の夢空間に誘われるのは解るけど、眠るのなら口栓をしてくれよとつい愚痴ってしまう。(高齢者は料金無料のため格好の休息所にもなる)

科白が一切無くても誰が見ても楽しかったのが『明治二十八年の両国大相撲』(右下)の相撲の実況中継作品。
コマ不足でぎくしゃくした動きながらも、こんな凄い技もあったのかと、一部の観客に受けていた気軽な娯楽映像。

音楽も付かない無音の一時間強の時間は、確かに映像を注視する集中力を保つのに苦労する。
どこか以前観たアメリカのミニマル・アーティストである、アンディー・ウォーホールが撮った実験映画、『エンパイアスティトビル』(ただビルを固定して長撮りした作品)を思わせる時間の長さを感じさせるが。
ともかく人が出ている、動いている、画題がいろいろあったので救われたというか丁度良い作品構成で成功していると思う。
映画が生まれてわずか百数十年しかたっていないなんて、まるで信じられない。
この間の映像技術の進化の凄まじさを改めて感じさせる面白い歴史映像だった。



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 ● 「加藤学×河田政樹vol.2」        藍画廊

知人の展覧会を観る。
一回り異なる世代による二人展。
表現も方法もまるで異なるけれど、微妙に互いを引き立てて美しい会場構成。
自分はタブローというよりは、やはりラフデッサンが好きなのかも。
オール・オーバーな画面空間。
作家のもつ内面は計り知れないけど、そのプロセスや息吹のようなものをどこか感じさせる。
久しぶりに美術作品に触れると、とても新鮮でわるくない。



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 ● 昭和の面影が残る路地、商店街     台東区


「他人の褌で相撲をとる」
ブログネタに困ったとき、これまでも随分と依存してしまったシミズ君ネタ。
略して”ひとフン”
ここからは、シミズ君宅訪問記です。

シミズ君が上野界隈に引っ越ししたのが丁度一年前。
御徒町駅より昭和通りを越えて入った台東エリア、そこにはディープな世界が拡がっていた。

近代的なビルの谷間に残された、昭和時代ばりばりのおボロい建物。
看板建築に、錆びたトタン張りの外壁。
木造家屋が時代の流れとともに徐々に変質した、そんな変遷具合が素晴らしい。
地元密着型の商店街には、およそ洗練とは無縁なおばちゃん服が並んでいる。
エリア的にも山手線の外側で、下町度が高く活気がある。
気取らぬことの心地よさ。うちの町には見られないこれらの風景にあこがれる。



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 ● お邪魔します

台東の一画、一歩路地に入ると、ありゃりゃと思わせる古い建物がみられる。
シミズ君の部屋の、二階の窓から覗くのが大家さんの家。(右)
この辺りは戦争で焼け野原になっているから、この立派な建物も戦後の築らしい。
江戸の町屋建築の粋を集めたような、きっちりとした佇まい。
雨戸の戸袋など、銅板細工の凝った模様に職人技が光る。
向かいにあるシミズ君のアパートは、燃料屋の大家の元炭小屋を改装したもの。
既に半世紀は経過していることだろうか。
中央の木製階段は幅も広く、黒光りして美しい。(左下)
シミズ君の4畳半の城にある文机を開くと、そこにはヒンディー語やウルドゥー語の辞書が納まっていた。(左上)
一緒にある、インドの弁当箱、蕎麦猪口、ガネーシュの神像、日本から輸出されてた牛の置物、幽霊の絵葉書、などなどの小物も素敵だ。
虫除け対策か? 窓辺には食虫植物好きな彼らしく、ハエトリソウが置かれている。



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 ● やはり楽しい宅飲み

部屋にごろごろ寝そべって、お呼ばれ接待に甘える。
独り者の身としては、自から作る料理と異なって、他人が作るものはなんでこんなに新鮮なのか。

ただの枝豆と思いきや、そこは言わずと知れたインド派のシミズ君。
唐辛子、ニンニク、ジラ(クミンシード)が加えられての、ひと捻り。
隠し味に微量に使われているヒング(温泉玉子味のスパイス)も効いている。

畳に置かれ目立っていたのが、ペパーミントグリーンのとてもシンプルな電気炊飯器。
「ああ、これがそうなのか!」
先日読んだ台湾の電気鍋料理本、どうやらそれと同じ系統の台湾の電気炊飯器らしい。
訊くと、台湾人の留学生が使っていたものを入手したとのこと。
わざわざ吉祥寺まで受け取りに行ったらしいけど。
お代はなんと1000円だったという、値段的にあり得ない掘り出しものだ。
ご飯はフランス製のごつい琺瑯鍋で炊いているので、この炊飯器は専ら加熱調理用にされている。
日本生まれの炊飯器の初期型と同じく、釜内に水を張って使う式。
そのため蒸し料理などが手軽に作れるという便利もの。
金網ザルを中子とし、酒を飲みながら傍らで焼売を蒸したりと、男の”ながら料理”派には最適な役割となっている。
保温機能のある簡単なスイッチを上げ下げして、自ら調理時間を調節。
シンプル・イズ・ベストの代表格のようなこの炊飯器は、是非欲しいアイテムだ。
うちで使っている家電製品の長寿格も、やはり学生時代から使っている電気炊飯器。
ときには蒸しもの代用機となり、芋を蒸したりと活躍している。
シンプルな構造で、壊れないことをいいことに使い続けているけど。
実はあの時代流行のパステルカラー・デザインで、プラスチックのもつ安っぽい材質感、部屋の中でそこだけ浮いてしまいなんとも恥ずかしいのが本音である。
それに比べこの台湾製炊飯器(大同公司)は、東芝1号機と同じくきわめて簡素で潔いデザインが美しい。
日本の製品にないような微妙な色調のカラーリングもとてもいい。
黒い取手には、はずした上蓋を固定する金具が付いているが。
蓋を立ててもすぐ落ちてしまい、使用感はいまいちらしい。

豚舌は一本そのままを、厚い鋳物製のパンに蓋をして時間をかけての無水調理。
素材の味を逃がさず閉じこめて、圧力鍋での調理とは一風違った美味しさだ。

大阪時代の彼の学生下宿では、西成から買ってきた怪しげな臓物の煮込みや、電気ストーブの網に当て調理したパパドなどをアテにして酒盛りしたことが懐かしい。

狭い部屋ながらも一間幅の流しがあり、一人暮らしには十分な台所だ。
印版手などの食器も随分集めたようで、自分とは趣味の異なる食器で料理を楽しめるのも心地よい。

お酒は、ホッピーならぬこの地の名物バイス(紫蘇風味)割りで、気付くと焼酎ががんがん進んでしまう。
酒の合間に折りに触れ肴が作られ饗される。
酒量食欲共に近頃随分細くなったというシミズ君(あくまでも本人による弁)だが、さし飲みはそんなに甘くない。
その言葉を安易に信じきるにはまだまだワイルドで、やっぱり参ったと後悔する。



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 ● 古いものが増えている

安南手写しの中皿、柱時計、プレスガラス、ドイツ製の解体用ナイフ、インドの琺瑯看板、フランス版肥後の守オピネル3種、フランス製ストーヴの鋳物鍋、ガネーシャ像に伝票刺し、インドの真鍮製薬罐、台湾の電気炊飯器、戦前の陶製コースター、インドのスパイスミル。

狭い部屋の柱には大型の掛け時計。
随分と昔のものながら、秒針も付いておりなかなかの風格がある。
軸棒が歪んでいて、修理費が購入費の3倍もかかってしまったいわく付きだけど。
中を開けたら、昭和9年(前回)の修理記録が記されていたという。

インドから、英国時代の流れを汲んだクラッシックなインド製エンフィールド(バイク)を持ち帰り乗り回していたシミズ君らしく。
メカ物に対する執着や、ナイフ趣味、男っぽい趣味が光る渋い下宿なのであった。



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 ● 下谷神社大祭

この日は丁度、下谷神社大祭ということもあり、祭囃子をBGMに部屋で酒を飲む。
町内の細路地を、いなせな衆が担ぐ神輿が行き交う。
部屋の窓からそんな様子を間近に見下ろす借景となり、そんなロケーションが素晴らしく演出効果も最高だった。



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 ● 夜のお散歩

御徒町界隈の交通のアクセスは素晴らしい。
部屋飲みしていて「散歩でもするか」ということで浅草へ。
蔵前で地下鉄を降り、ぶらぶらと浅草を目指す。
夜の浅草寺は、観光客で溢れる日昼とはまるで異なった荘厳さがある。
ライトアップも美しい。
浅草寺裏手、暗闇のなか灯りに誘われて、大衆劇の芝居小屋を覗いてみたい衝動にかられる。
怪しげな路地を抜けたりしながら、合羽橋、東上野を通り不忍池にたどり着く。
酔いも程よく緩和され。
ライトアップされた辨天堂を見ながら、再び缶ビールで乾杯。



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 ● 燕湯で朝風呂

酒量がすっかり落ちたという某に付き合ったがために、翌朝はすっかり宿酔い。
洗面器片手に近所の銭湯へ向かう。
裸足に雪駄を借りてぺたぺた歩く。
普段は用も無く縁のないこの界隈が、すっかり自分の庭に転じていくようで面白い。
職人や勤め人の混雑が終えた頃を見計らって銭湯へ行くも、結構混雑している。
町の銭湯に浸かるのはいつ以来だろう。
伝統的な豪天井を持った東京の銭湯。
この日はレモン風呂、バスクリーン色のどぎつい湯船にゆったり首まで浸かり酔いを醒ます。
壁一面に描かれた雄大な富士の銭湯画、定番の黄色いケロリン桶、角には岩盤風の盛りがあったりと、銭湯の持つ小道具による癒し効果は計り知れない。
筋肉質な端正な若者の裸から、よぼよぼの爺さんまで、人様の身体をしげしげと眺めるのも面白い。
自分のことは棚に上げ、さすがに「シミズ君も中年腹になってきたな」と感じてしまう。
まるで北斎漫画で描かれるように、腹が垂れ、膝が出た庶民像がそのまま洗い湯で展開されている。

子供の頃祖父とよく行った銭湯では、湯上がりに飲む牛乳がお約束の楽しみだった。
コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、リンゴジュース、オロナミンC、マミーにカツゲン、その時以来口にしていない懐かしい味だ。
紙蓋を刺す針が、紐付きで冷蔵庫からぶら下がっていた。
子供向けには東映怪獣戦争、映画館で上映中のポスターなんかも貼られていて、籐椅子に裸体で座るエマニュエル婦人(シルビア・クリスティー)のポスターに目のやりどころに困った思い出がある。

すっかり大人になった現在では、風呂上がりにそんな些細なことではなびかない。
咽はからからだからこそ、君子たるもの銭湯の冷蔵庫を開けることなくもうしばらくじっと我慢の子。
やはりここはひとつ泡の立つ飲み物でしょう、ということで連れ立って近所の公園へ向かう。
湯でほてった身体を、今度は内面器官から冷ましていくという発想の転換。
こうして駄目な大人が形成されていく。
都会にして小さな公園も結構あって、とても恵まれた界隈なのだった。



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 ● 富岡八幡宮骨董市

朝風呂の後に朝飲みもしてしまい、完全にダラダラ状態。
骨董市へ行くには遅すぎる時間だけど、大江戸線で門前仲町へ。
部屋からのアクセス、なんて便利な立地なのだろう。
富岡八幡の骨董市は初めてだけど、今日は余所と重なっている日なのか出店も少なく活気がない。
近頃はガラクタ熱も若干冷めてきたせいか、骨董市を見ててもいまひとつスィッチが入らない。

箕、錘、徳利など目につく。

徳利は、いわゆる島ものと云われる、琉域の離島の「鬼の腕」徳利だろうか。
焼き締められた古び具合がなんともいえない、値段は8000円。
よくあるマカイ(飯碗)と同じように、墓の副葬品っぽい雰囲気がする。



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 ● フィルムクリップ

富岡八幡の市では、いわゆる代用陶器だろうか。
「オモリット ライカ用」と青書きされた錘を見る。
ライカとあるから、フィルム現像用錘なのかも。
竿秤用の似た錘は結構見かけるけれど、このタイプは初めてなので面白い。
文具じゃないけど、こういった暗室小物にはつい惹かれてしまう。

こちらはうちのガラクタもの。


H型フィルムクリップは鉛の錘付のステンレス製。
”PAKOSNAP”USA 85×幅40×15ミリ。
フィルムをしっかり噛みつく爪がつく。(左下)

T型フィルムクリップは、少し前の時代のドイツ製だろうか、55×幅75×11ミリ。

学生の時に使っていたのは、日本の写真具メーカーKINGのフィルムクリップだったけど。
このアメリカ製のフィルムクリップほど凝った作りではなかったはず。
フィルム現像は苦手だったし、あれはどういうかたちだったかまるで思い出せない。




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 ● 世界の文字でコカ・コーラ

富岡八幡宮の鳥居を越えたすぐのお店、シミズ君が飛びついたのがこのコカ・コーラのコップ。
横にあるのは、三河系のダルマか? 自分としてはそちらが気になる。
こういったコップのノベルティーグッズは、文字フェチでもある彼の琴線に触れるのだろう。
彼は以前マレーシアで、タイガービールのコップ買いもしている。

英語、ドイツ語と各国の文字でコカ・コーラと書かれている。
カタカナ、中国語、ハングル、タイ、ウルドゥー、ペルシャ、グジャラティー、パンジャビー、カンナダ?
そして最後のこの文字(下中央)は、いったい何文字なのだろうか。
まるで想像もつかない。


ヒンディーを修めたシミズ君、インド系文字は彼の得意とするところ。
インドとはいえ、地域が異なればなるほどこうも文字のかたちが変化するのか。
うる覚えの、デヴァナーガリのアルファベットを思い出し当ててみる。
コップを手に、表記を踏まえたマニアックな文字談義に花が咲く。
世界には、見知らぬ不思議な文字が溢れていて面白い。
自分たちにはありふれたカタカナ表記の「コカ・コーラ」。
外国人にはどんな印象の文字に見えるのだろうか。

シミズ君、言い値のままでいきなり2個の大人買い。
買いっぷりがよいというか逡巡がないというのか。
好きな物との出会いはやはり一期一会。
コップのお代は高いのか安いのか? こうして彼の部屋ものグッズが増えていく(ようだ)。
新し家主に嫁ぎ、言葉に飲まれ呑まれてしまう酒宴用(多分)のコカ・コーラコップ。
コップはもう十分あるでしょう(お前が言うなと怒られそうだけど)、使う度に話題が持てる点では、案外彼にとっては正解の買物なのかもしれない。

物の見方・感じ方は十人十色。
いつもの独りで探る骨董市と異なって、たまにはこういった連立ちで訪ねる市巡りも面白いと判明した次第である。

お終い!





今回の一部は他力本願の”ひとフン”ながら楽しい一時でした! (^_^)v 




 
  1. 2018/05/14(月) 16:41:46|
  2. 雑 閑
  3. | コメント:0

411 悪の華




5月はケシの開花期。
昨年に引きつづき、東京都薬用植物園のケシを見てきました。(2018年5月5・8日)



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 ● 5月はケシ外柵開放中(18日まで)

東京都薬用植物園内には、二重の有刺鉄線で囲まれた厳重な栽培区がある。
そのエリアでは、麻薬原料となる大麻やケシが栽培されている。
今年は春が近づき一気に気温が上昇。
例年に較べサクラの開花も早かったけど、ケシの開花も早かった。
GWのこの日は、丁度ケシの花が見頃となった。



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 ● ケシのミニ講座

GW中に一般市民を対象にしたケシのミニ講座がある。
薬事監視員の係りの方が、実物のケシを手に解説してくれる。
花弁、蕾、果実、葉など、法律で栽培禁止となっているケシの特長について解説。
ケシ坊主を刃物で傷つけると、麻薬成分を含んだ乳液が滲み出る。
初めは真っ白だった乳液が序々に茶色く変化する。(右下)
ケシ坊主のなかの種はまさにケシ粒大。
びっしりと小さな種が詰まっている。
ケシ坊主1個に、アツミゲシ(左下)で1000~2000個。
一貫種のケシで10000粒もの多量さだ。
種には麻薬成を一切含まず。
発芽せぬように熱殺され食材(ポピー・シード)に加工される。



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 ● ヒマラヤの青いケシ    Meconoposis grandis

メコノプシス属は約40種。
主にヒマラヤから中国西部の高地に分布。
こちらは麻薬成分を含まない栽培可能種。
昨年度は全滅で花が見られなかったけど、今年は低温室で見事に開花していた。


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 ● ”植えてもよいケシ”(上)と、資料館展示(下)

鉄柵で囲まれたなかにある、法律上麻薬成分を含む”栽培禁止のケシ”のほか。
柵外の花壇では、”植えてもよいケシ”も見事に開花中。
ヒナゲシ(写真上)、オニゲシ(オリエンタルポピー)、アイスランドポピー(シベリアポピー)、トゲミゲシ、モンツキヒナゲシ、ハナビシソウ(カリフォルニアポピー)のはか。
近年帰化植物として問題となっているナガミヒナゲシなどがみられる。

園内にある資料館の一画は、麻薬原料となる大麻・ケシなどのコーナー展示(写真下)となっている。



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 ● ケシ  Papaver somniferum  ケシ科ケシ属

一年のうち連休明けに2日間、一般向けにケシの柵内開放日がある。
時間はわずかに30分。
厳重な管理のなか、間近で見るケシの花の見事さにみとれる。
パパベム・ソムニフェルムは、インドから小アジアにかけての西アジア原産とされる一年草。
アヘンを採る目的で栽培され、いろいろな品種がある。
昭和初期に日本で改良された白花の一貫種は、アヘン収量が多い(1反あたり1貫”3.8kg”収量からの呼称)
インド、トルコ、ボスニアなど国名がついた種。
ほかにも、規制をならない海外で園芸種として品種改良された、赤花や八重などがあり。
海外では園芸用としてネット販売がされているものもあるが。
日本では、”アヘン法”によって栽培が禁止されており。
それらは鑑賞目的であっても、国内に持ち込むだけで懲罰となるので大注意。



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 ● ケシ坊主

ケシは医薬品原料として重要な植物。
アヘンはケシの未熟な果実<ケシ坊主>に傷を付けて得る。
アヘンには癌の疼痛緩和薬として欠くことのできない、モルヒネが多量に含まれる。
また、喘息薬や感冒薬等に使われるコデインを含む大切な原料である。
しかし使用方法を誤ると、強い依存性のある麻薬となり。
法律上厳しく制限されている。
全国で、法律上規制のあるケシの栽培許可を持つ者が15名。
そのうちアヘン収穫許可を持つ薬事員が5名。
そして植物園でこれらのケシが見られるのが、ここ東京都薬用植物園と、四国のマキノ植物園の2箇所のみという。
国内での年産アヘン総量が1kgで、そのうちの1/10(約100g)を、ここ東京都薬用植物園の栽培で収穫している。
これっぽちのアヘンの量では、とても医療用としてはまかなえないため。
そのほとんどが海外からの輸入(年間90t)に頼っている。
その多くはインド産という。



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 ● ハカマオニゲシ   Papaver bracteatum     ケシ科ケシ属

栽培禁止種の”ケシ”の見分け方は
1,葉や茎にほとんど剛毛がない
2,葉に葉柄がなく、茎を抱く
3,葉の切れ込みが比較的浅い
の3項目がポイントと云われている。


このハカマオニゲシオニゲシとよく似ており、その違いが区別しづらい。
全体に白色の剛毛があり。花は深紅色、花びらは4~6枚。花の下部に苞葉(ほうよう)の数が5~7枚。葉は羽状に深く切れ込む点が、区別のポイントとなる。
「麻薬及び向精神薬取締法」により栽培が禁止されており。
全草(特に果実・根)にテバインを含有する。
通常国内に出回ることがほとんどないが、海外で入手することが可能という。
法律上、”植えてはいけないケシ”は、植えることも持ち運ぶことも禁止されている。



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 ● アツミゲシ     papaver setigerum     ケシ科ケシ属

北アフリカ原産の1年草。
渥美半島に帰化して大繁殖したことによる和名。
モルヒネを含有しており、アヘン法で栽培が禁止されている。
ケシ<Papaver somniferum>より小型で、繁殖力が強く、しばし空き地などで野生化する。
ここでも、稲城産、青梅産などが見られた。
都内でも年間1万本ほど駆除処分しているという。

もし不正なケシを見つけたら、引き抜いたり切り取ったりせず。
東京都薬用植物園(042-341-0344)に問い合わせるか。
福祉保健局健康安全室薬務課麻薬対策係(03-5320-4505)または東京都保健所へ連絡のこと。


下;切り取った(駆除した)ケシは地面に深く掘った穴に埋没処分し廃棄される。



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 ● 内柵開放はわずかに30分



今回もとても勉強となったケシのミニ講座でした  ('_') 


  1. 2018/05/09(水) 22:18:20|
  2. 雑 閑
  3. | コメント:0

410 花と緑





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 ● 「花と緑の祭典 2018」     埼玉県さいたま市 市民の森・貝沼グリーンセンター

前回、上石神井の東京おかっぱちゃんハウスで観た、中央アジアの舞踏グループの方が、今度土呂(とろ)の公園の国際フェアに出ると聞いて、行ってみました。<2018年5月4日>

Hさんと武蔵野線で待ち合わせ、大宮までは武蔵野号に乗るとあっという間に着いてしまう。土呂駅は、大宮からさらに一つ先。
大宮くんだりに来たのも、いつ以来だろうか、土呂駅も今回が初めて。
駅を降りたら、少女像(左上)が迎えてくれました。さらに歩いて10分ほどで公園に到着する。
この花と緑の祭典も既に十数回目の開催という。
そういえばGWのなか日、今日、5月4日は”みどりの日”で、そんな祝日決定にあやかり、はじまった催事かも。
埼玉県民じゃないから、こんな催事があったとは、まるで知らなかった。
国際フェアというと、代々木公園でよくある各国フェアなどのイヴェントを思い出してしまうけど、ここのは園芸祭と国際フェアがミックスされた独特の催し。
代々木公園の各国フェスのように、いかにもそちら方面の好きな方々が集うというよりは、あくまで県民主体の家族連れや、お年寄りが気楽に憩っていて、のどかなローカル感に溢れ和みます。

会場に到着してみたら、いきなり盛り土を漁るお年寄りの姿(右下)が目に飛び込み、驚かされる。
お年寄りといえば、やはりステレオタイプに盆栽、そういえば大宮は盆栽栽培でも有名で、業者の数も多く盆栽村があると聞く。
そして、タダという言葉の魅力には抗えない。う~ん、どうやらお持ち帰りフリーの園芸土らしい。
お爺ちゃん、そんなにいっぱい詰めても、持ちきれませんよ~ ^^; 


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 ● 春の園芸まつりと、国際友好フェアの雑貨販売やグルメブース。

春の園芸祭りでは、野菜・花・植木・苗等の販が。

国際フェアは、3ブース構成で。
体験ブースとして、NGO・NPOグループの活動紹介。
ハンディークラフト販売として <エジプト、ケニア、トーゴ、ドミニカ、メキシコ、ネパール、ラオス、バリ、南会津町 ・・・・・・・・・>。
グルメブースとして <ドイツ、ロシア、エジプト、トーゴ、中国、新彊、シルクロード、インド、ネパール、タイ、インドネシア、メキシコ、コスタリカ、アンデス、ペルー ・・・・・・・・・・>

販売されている雑貨は、いかにもお土産品といった雰囲気の物ばかりだけど。
国数も結構あり、販売と同時に、観光などのお国紹介もされており、その国の事情をよく知らない中南米やアフリカの国などが、やはり面白い。
各国料理のほうは、屋台メニューで料理の種類は限られているのだろうけど、近年はお祭りの出店ですっかり定着した、タイ料理、インド・ネパールカレー、トルコのケバブーなどのほかにも、こんな料理もあるんだなぁと、さらに感心する。
ともかく、ブースを一巡しながら、お手軽に世界旅行気分を楽しめるのがよい。
公園の広い芝生に、テントを張って家族連れやグループが楽しんでいる。
代々木公園の各国フェアでは、ごろんと横になれる、そんな余分なスペースが一切ないから、その点ではピクニックもできて、とても良い催しです。



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 ● 国際友好フェアのNGO、NPO関連展示など

上; 今回は中央アジアの踊りが目的だったので、つい目についたのが「日本ウズベキスタン協会」のブース。
旧ソ連邦、中央アジア・コーカンドの国々は、”カ・ト・ウ・タ・キ”で覚える全5カ国<カザフスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタン・タジキスタン・キルギスタン>
そんな国名だけはこの方式で知ってはいるのだけど、各々の位置関係や国勢がいまひとつピンと来ない。

係りの方がいろいろ詳しく教えてくださり、タシケントやサマルカンドが、ウズベキスタンの都市だったんだ、という余りの知識のなさ。
展示されていたものと同じ民族衣装や帽子、それらに見る刺繍や絣(アトラス)の模様は、これまでも幾度か見たことがある。
戦後の抑留で、日本人が建てたナボイ劇場があったり。
当然ながらイスラム教が伝搬する以前は、仏教時代があり、ガンダーラ風の仏像も残る。
ブースのテントの奥に掛けられた、大きな垂れ幕の写真は、巨大な壁龕を持つ、ターコイズブルーのドームの廟の写真で、これはイスラム世界の建造物写真では、イスファハーンの王のモスクと並び、かならず登場するティムール朝の有名な建物だ。
映画『オルランド』で、確かイスラムの王城場面で、そのロケ地となったのがここではなかったか。
メイキングフィルムで、監督のサリー・ポッターが、現地撮影の余りの難行さをこぼしていたような気がする。
ウズベキスタンの国旗は、青・白・緑の間に赤の細線が入り、三日月に12の星が描れる。
中国の新彊ウイグル自治区とは、民族や言語的にも同質らしく、以前、電信柱修理人の話しを描いた、ウイグル映画を観たことがあるけど、そちらはどうやら中国の新彊のものだったようだ。
今月は、ウズベキスタン・ウィークで、15・16日には、赤坂区民センター 区民ホールにて、民謡、、歌曲、音楽、舞踏のコンサートがあるらしい。(無料・事前予約制)


中; ラオスでの国際協力: 国際協力NGO・IV-JAPAN

リス族女性の民族衣装を着ていた男の人の姿があまりに可笑しく、係りの方に訊いてみたらラオスでのNGOとのこと。
職業訓練コースとして、調理・縫製・美容・木工など、実地訓練により訓練生に自信を与え、起業・就職を促進し、実際の現金収入を得て家族を養うことを可能にするなど、ラオスの若者の生活水準向上を計る。
現在のラオスの状況をいろいろ詳しく教えて頂きました。

6月2日に、創立30周年事業報告会あり。<カンパ費として1000円>
報告会のほか、講演「ラオスの風土と暮らしの中の、ケーン(笙)の音と語り歌」ケーンの演奏(虫明悦生)、懇親会(軽食とビアラオ)あり。
ケーンは笙といえども、日本の笙とは演奏形態も音もまったく別物の代物。
ケーンは日本ではまず聴く機会はないから、モーラム(民俗音楽)の研究家でもある演奏者の講演会はとても貴重と思います。
カンパ費で懇親会も楽しめるのでかなりお得。場所は十条駅近辺、資生堂美容技術専門学校にて。


下; 中国雲南省でのNGO: 日本・雲南聯誼(れんぎ)協会

ミャンマーのカチン族のバックがあり、何故ここにと見ていたら、係りの方とお話しすることに。

雲南の少数民族や、子ども達の教育の現状、民家のつくり、照葉樹林文化の話しまで、いろいろ教えて頂きました。
雲南省は一度旅したことがあり、この協会で展示している写真パネルをしげしげと見てしまう。
雲南省は、ミャンマー・ラオス・ヴェトナムの国境に接し、少数民族は25民族と、中国国内でも、少数民族の割合が最も高い地域。
世界遺産となっている有名な観光地のほか、山岳地帯の寒村での少数民族の子ども達の過酷な現状写真なども並んでいる。
『三姉妹・雲南の子』 ワン・ビン監督  というドキュメンタリー映画で見た、雲南省の寒村の姉妹の、過酷な生活シーンを思い出してしまう。
協会の活動は、日本と雲南省の友好を願い、教育および文化に関する活動を行い、友好と発展に寄与する。教育・文化・健康の応援。
小学校にも通えないような状況の子ども達に、校舎を建設し学習の機会を提供する。
建設された校舎の維持管理を、現地の方々の力で責任を持って行ってほしいと、費用は全額援助するのではなく、あえて現地と折半する方針を採用。

国際協力も独立行政法人のJICAのブースから、様々な民間NPO法人まで、いろいろな会が参加しており、とても勉強になりました。



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 ● NPO関連の写真にみる道具に目がいってしまう。

教育・技術支援や、フェアトレード、国際教育の有り様は様々で、お話しを聞きながらその都度納得しつつも、ついその写真パネルに見られる道具に目がいってしまい、民具脳となりいけません。

上; ネパールの麻(アロー)のショールと、機織りの様子。
山岳部の民によって織られた、ざっくりとごつい太布は自分も幾枚か持っていますが。
こちらのショールは、透かし織り模様も美しくなかなかの品です。
ポカラ近郊で織っているらしく、そんな地機のパネルが飾ってあります。
よく見たら、椅子を真横に倒しテンションにしているなど、身近の道具の利用が面白い。

中下; 雲南省の写真
子ども達が腰掛けている木製の座椅子、農家の庭先に転がっている箕やカゴ類、子供が頭額帯で負っている背負カゴ、はたまた着ている服、裸足の足元、一枚の写真から読み取れる情報はなんと多いことだろう。

こちらは過去ログながら、雲南省の背負籠椅子などです。




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 ● シルクロード・ベーカリー

シルクロードの味と書かれた幟には、キルギスタンとウズベキスタンの国旗が。
キルギス人の旦那と日本人の奥さんがやっている、”シルクロードベーカリー”。

先日『 ウズベキスタン日記 -空想料理の故郷へ- 』高山なおみ・川田真由美 を図書館で借りて読んでみたばかり。
これは、武田百合子『犬が星見た』の旅を辿る、現代のオマージュ版旅レポートというもの。
前作『ロシア日記』に続き、料理家の高山なおみが見た、現地食の描写がなんといっても秀逸で興味深い。

今回は世界各国の屋台で溢れているけれど、やはりロシアのピロシキというよりは、今回はウズベキスタンにあやかり、ここはシルクロード中央アジア料理で”炭火焼きソムサ(350円)”でしょうか。

発音の母音の微妙な異なりでしょうか、”カルカッタ”がベンガリーで、”コルコタ”(あくまでカタカナ表記の場合ですが)になるように。
インドのタンドール・ナン・サモサ・プラウが、それぞれタンディール・ノン・ソムサ・プロフという表記となっている。
そういえばノンのかたちも、インドのナンと異なり円形の花形状で、随分異なっています。
イスラム教の国らしく、すべてハラールの羊肉を使用。
もっちりとした生地に、たっぷりと羊肉の餡が詰まった炭火焼きソムサ。
香辛料の強さは余り感じさせない、いたってシンプルな味付け具合が、かえって羊肉の味わいをきわだたせ美味です。
パンはすべてタンディールの窯焼きで、生地もボリュームが十分あり申し分ない。
魔法瓶に持参したのが、土産で頂いた台湾のウーロン茶だったのですが、今日のような夏日には、店で売られていた様々な果汁がミックスされたサングリア風のジュースや、あちら風の緑茶なんかが、丁度合うかも知れません。
学生時代から幾度かの旅を経て、この地にすっかり魅せられたはまったという奥さん(右上)が、現地で調達して持ち帰ったパンカゴ(右下)が気になります。
大きさは2尺強、細い木質の素材は、どうやらヤナギ、主人が云うには、その枝が垂れているとのことですから、”楊(コリヤナギ)”ではなくて、”垂れ柳”のヤナギのようです。
側は、まるで茶碗カゴのような立ち上がりながら、底は菊編みではなく筏底でした。
サイズもいくつかあり、当地では、頭輪を用い、このカゴを頭に載せて運搬するらしい。

 熱々料理は、日本人の味覚のお美味しさのお約束事ながら。
熱砂で高温の中央アジアの国々では、客人へのもてなし料理は、冷まして出すのが礼儀であり、そんなカルチャー・ギャップについても、本書で少し触れていましたが。
 気候・風土・地域・文化、編組としてのカゴの技術は、万国共通の編み方が幾つもあり。
パンカゴの通気性が、夏場のお櫃につける簀蓋のように、暑い気候のなかで食品を保存します。
屋台では、日本流に綺麗にビニールでパッキングして、さらに保温性を高めさせるのか、美しいスカフーを一枚のせてカゴを覆い、そんなさりげない日本風な演出が綺麗です。



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 ● ステ-ジプログラム

いまだ馴染みの浅い、中央アジアの踊りを見るのを目的に訪れた、今回の催事でしたが。
2日間のこの催事、昨日の午前中は雨で、行くのをやめたのですが。
前日の最後のトリが、どうやらこのグループ(ウズベキスタン舞踊:グリスタン)で、残念でした。

昨日のステージでは、はほかにも、ゴスペル、タイ、コーカサス、ロシアの舞踊など、興味あるものが見られます。
それに較べて、本日のステージは、メキシコ民族舞踊、ハワイアン・フラダンス、オペラ、サンバ、ベリーダンス、中国武術演武など。

オペラ、フラダンスなどは、素人芸では、見ていて拷問に近い気分となることが多く、心臓に悪そうです。
ベリーダンスは、ちょっと見てみたいけど、時間的にはむずかしい。
結局ステージで見たのが、ネパールの民族太鼓(左上)と、ボリウッドダンス(右・中・下)

ネパール太鼓演奏は、ヒマラヤン・ディディーズ。
日本人のネパールへの支援グループの方の演奏で、ディディ(お姉さん)というには余りにも薹が立ったシニア度ながら
ネパール人ぽく、短いペチコートの上衣に腰巻き姿の方が一人、ほかは全員パンジャビー風衣裳。
ネパールの両面太鼓(マ-ダル)を首から下げて、単調な奏法でもってポンポン叩きます。
ネパール民謡は、どこか田舎っぽく全体に野暮ったいイメージなので、今回の踊りも同様にかなりのダサさです。
テープから流れるネパールの鄙びた雰囲気の音楽に、ぴったりと合った土臭さ。
太鼓に較べ笛は相当難しいので、それを望むのは酷ながら、せめて旋律を奏でるバンスリ(笛)だけでも実際に生で聴きたかった。
ヒマラヤの山の民 タマン族の民謡、三線と併せて沖縄の島唄なども披露され、素人芸ながらものどかな祭典というか、観客の多くもシルバークラスの方々ばかりなので、どこか田舎芝居を見ているような気分となって、これはこれで楽しかったです。

ボリウッドダンス:harshavina
インドはアメリカに次ぐ映画大国で、”ボリウッド”とは、ボンベイとハリウッドを併せた造語。
インド映画では、歌と踊りのシーンはお約束の付きもので。
ボリウッドダンスは、映画の主要場面で、主演俳優と歌姫を中心に繰り広げられる、エンタメ溢れる華麗な舞踏シーンのあれです。
脳天をつんざくような歌姫の奇声に合わせて、ビートの効いたサウンドの大音響。
アクションも激しく、独特な腰・首・腕・脚使いの踊りが楽しめます。
出演は日本人の3人グループで、若いお姉さんが1人とおばさん2人の構成。
激しい踊りを、全員が一糸乱れぬように呼吸を合わせて踊るのは、アマチュアには到底無理であり、舞台の盛り場も心得て幾度も練習されたとみえて、完成感ある踊りが実に決まっていて見事です。
まずは、一番綺麗な若いお姉さんの動きを目で追っていたはずが、気付くと上衣のペチコートからむにゅっとはみ出た腹をもつ、おばさんの踊りに目が移ってしまう。
自分としては、けしてデズ線ではないのですが(笑)
サリー姿は、胴回りが太く腰が消えるぐらいが美しく見えるから、激しい踊りのなかにあっても、どうやら腰が据わっていて安定しているらしい。
そういえば、昭和の歌謡ショーで主演スターの後ろで一団となって踊るスクールメイツも、なぜか全員肥えていた。(こちらはスターの引き立て役としてのただのデブか)
激しい動きに合わせて大きく膨らむフレアースカートの優美なきらびやかさ、ストーリーに合わせた煽動的な掛け合いの仕草、アクロバティクな要素をたくさん盛り込んだボリウッドダンスは、エンタメ度も抜群で、インド映画の華でありショー性に秀でている。
なるほど、インド映画は、どれもストリーはいたって単純でワンパターンながらも、華やかな構成のダンスシーンだけでも、十分に観客のハートを掴みおつりがくる。
歌と踊りといった定番のもつ、確固とした不動性は、やはり凄いものがあります。
パワー全開で野外ステージに映える、実に素晴らしいボリウッドダンスでした。
そして、先日イランのコンサートへ行った時にも思ったのですが。
いわゆる古典芸能もよいけれど、やはり現代流行の歌やダンスにも、民族的に潜在的な感覚が濃縮されており、現代の世相を写す鏡として、つくづく面白くよいものだなぁと感じました。



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 ● 荒物販売されていた、カゴや箒

国際フェスティバルで、各国の諸雑貨が溢れてはいましたが、自分としては土産物品よりは実用品により惹かれる。
メカゴを手にした若い娘を見かけたけど、どうやらこの店のものだったのだなぁ。

メカゴ(左上)は、1850円、2200円
フジ箕(中)、栃木産 12000円
座敷箒(左下)、栃木産 4500円
箒(右下)、中国製 600円


熊手、竹箒、麦わら帽子などに混ざり、竹籠が売られていた荒物屋。
座敷箒は、鹿沼を思わせる蛤形の編み。
箕は腰が若干深く、フジ皮も幅広だったけど、ビニールを被っていたのでよく見えない。

箒もそうだけど、ヴェトナムの菅笠(ノン)や、籠類の多くは値段的にも外国製の模様。



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 ● お昼は地元の大衆食堂で

催事の会場を後に大宮駅方面へと向かう。
陸橋を越えた道路に見つけた、町の定食屋といった風情の小山屋。
40数年つづくという店内は、なんとも懐かしい昭和の飯屋の雰囲気で満たされ、丼物から麺類まで、黒板にみる品書きも豊富。
お昼時のこの時間、店の前には自転車が多数横着けされて、近所の人たちで賑わっていた。
立看板には「手打なす汁うどん」とあり、創業からの名物ということで頼んでみる。(680円)
噛みごたえのある非常にしっかりとした手打ち麺を、油で素揚げされた茄子が入った濃いめの出汁に浸して食す。
濃厚な茄子の味が口いっぱいに広がりとても美味。うどんと茄子汁の相性の良さにしびれる。
武蔵野名物の肉汁うどんは、これまで幾度も食べたけど、なす汁うどんは今回が初めて。
うどん好きのHさんも唸らせて、ローカル感あふれた店の雰囲気も楽しめて、結構当たりだったかも知れない。



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 ● 民俗展示ブースの漁労関連展示    埼玉県立歴史と民俗の博物館

大宮公園を通ったついでに県立博物館を見学。
時間がなく、考古と民俗のコーナーのみに絞り、さらっと流して観る。

考古展示では、縄文のミミズク形土偶、弥生の甕棺など興味深い。

民俗展示では、川漁、紙漉き、酒造、紺屋、雨乞儀礼に、特設の船大工用具が展示されている。

紙漉きでは、ICUの紙の民具展のときに見た、小川町の細川紙の紙漉き映像を思い出す。
映像ではいまひとつはっきりしなかったけど、仕上げの板張りの際に用いる”刷毛”と、製品の裁断に使う、弧を描く曲線を持つ”カミキリガマ”があり、注視する。

むかし行った氷川神社の酉の市では、縁起物の熊手に混ざり、節句の薬食い用なのか、鯉などの川魚が活きたまま沢山売られていて興味深かった。
筌や魚籠など、川漁で用いる漁労民具は、地域によってかたちがかわっており、漁法もいろいろあって面白い。

川船でのウナギカキ漁(幸手市)
鮎の瀬張り網漁(皆野町)
セイドを仕掛ける(戸田市)
ナマズウケ漁(行田市)



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 ● 漁労関連民具    埼玉県立歴史と民俗の博物館

おとり箱(小川町) 鮎用
おとり桶(浦和市) 鮎用
ビク(大滝村)
アユのフネ(狭山市) 販売用容器
ハケゴ(皆野町)
ナマズウケ(越生町) 鯰用
ハチブセ(川本村) オイカワ・ウグイ用
ウナギカキヤス(滑川町) 鰻用

先日行った川越の骨董市で見たのとまったく同じ、アユ用の”おとり桶”がありました。
* 岩手の桶屋Oさんも小田原時代に、同じ桶を見たことがあると教えて頂きました(Oさん、この場をかりて有り難う)
”ビク”は携帯用とのことですが、剥いだ樹皮を結って容器にした変わった仕上げです。
”アユのフネ”は、多摩地区の資料館でも度々目にする鮎用の土産カゴです。
”ハケゴ”は腰当て部分が板付で、箍を結った精巧な魚籠です。
”ハチブセ”も珍しい筌です、盥状のブリキ缶の上部に麻網を張り口を付けたもの。


こちらのブログ魚籠づくしでは、全国の魚籠を載せています。




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 ● 武蔵一宮  氷川神社

博物館の後は、氷川神社へ寄ってみました。
各地の神社参詣では、願い事が書かれた小絵馬を見るのが趣味ですが。
今回も、ともかく細かい字でもって願い事満載となっているものや、どこの国のアルファベットなのか、知らない文字が書かれたもの(ギリシャ語?)もあったりと、見ていて飽きません。
英語、ハングル、中文・・・・・・、奉納絵馬にみる国際化も進んできた昨今です。



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 ● つい古そうな建物に目が入ってしまう。     大宮駅近辺

氷川神社から続く長い参道を通って大宮駅へ向かいます。
商店街の飲食店もチェーン店が多く目立ちます、新しい建物に挟まれるようにして、ときどき昔の建物が顔を出し、目を惹きます。
細かい路地に一歩入ると、そこは怪しげな歓楽街でどこか猥雑的な雰囲気が漂っていたりと、やはり見知らぬ街の路地裏歩きは楽しいです。



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 ● 駅前通りの盆栽展示     大宮駅近辺

大宮といえば、日本屈指の盆栽で有名な地域で、盆栽村が誕生したのは大正14年といわれる長い歴史をもつ。
市内旧土呂町の一部、草深い武蔵野の山林地帯であったここに数軒の盆栽業者が、東京から移り住み、盆栽の育成にいそしみ、土地の愛好者を刺激し、次第に盆栽業とする者が増加し、盆栽村が誕生したという経緯をもつ。
現在の道幅は当時造られたそのままで、碁盤の目状にりめぐらされた道の両側には、さくら、もみじ、かえで、けやきなどの木々が植えられており、それぞれの樹種名が付いた通りの名前となっている。
みどりの日のこの日は、そんな盆栽パワーにあやかり、駅前通りにはずらりと品評会用なのか盆栽が並んでおり、和太鼓のショーなども併せて盛り上がっていた。
こんな小さな鉢植えなのに、実物を縮小したような小さな葉や花、実が成っているのに驚く。
流石に、盆栽オヤジとなるほど気は引かないけど、普段見慣れぬ、こうした細々としたものは、おもちゃのような小道具を散りばめた盆景などと共に、ままごと好きの自分としてはそんなに悪くないかもしれない。
気付くと盆栽マジックにかかり、しげしげと見入ってしまう。
実家のある田舎では、父がやはり盆栽の鉢を幾つか並べていたけれど、あの頃はまるで感心がなかったけど、現在ならば多少なり、亡き父のその心境も汲める気がする。

花と緑の祭典、最後の落ちにして盆栽か!? 否、やはり始めるには、まだまだ早い気がする。(笑)


久々に行った大宮は新しい発見もあり面白かったです! (^_^)/~ 




        
  1. 2018/05/07(月) 16:18:58|
  2. 雑 閑
  3. | コメント:0

409 携帯の美 弁当箱






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 ● 『携帯の形・ひらく弁当箱』       国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館  東京都三鷹市

過去の展覧会でも、これまで若干弁当箱は見ることがありましたが、今回は弁当箱に特化しての展示。
日常使いの携行容器として、曲物作りの波子(わりこ)のような簡素なものから、行楽用に手の込んだものまで、重箱、提重、行器(ほかい)、茶弁当、携行用酒燗器、器局(ききょく)、菓子箱などのほか、それらが描かれた名所図絵や浮世絵などの関連資料を併せ、70点あまりの構成です。




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 ● 漆塗りや蒔絵による美しい品が勢揃い


弁当箱;
弁当は、外出先で食事をするために使う携行用の入れ物。
近世に入ってから、花見、遊山、観劇などの行楽に贅沢な装飾を施したものや、用途に応じて工夫された形や構造のものが使われるようになる。
普段使いの一人用の弁当箱から、四季折々の花見、紅葉狩りや月見、また観劇の際に大人数で食事やお酒を持参したものまで、様々なものがある。
特に江戸時代から普及した提重はバラエティーに富み、漆塗りや蒔絵による加飾が美しいばかりか、材料を軽量化し入れ子や重ねによってコンパクトにまとめることができる構造をとり、使用後も持ち帰りやすい工夫がみられる。

黒漆塗腰弁当(左下)は、シンプルな形態ながらも、飯盒と同じく腰に吸い付くような優美な曲線を持ち、ぐるぐる渦巻きの留め具がアクセントになっている。


出来る限り無駄がなく、常に何ごともコンパクトに、そつなく纏めてしまう携帯の発想は、日本人のお得意芸ともいえるもの。
展示されている弁当箱のいずれもが、各々独自の発想と工夫に満ちており、さらに工芸的な技術が集結された細々とした品が目を惹く。

古いものでは江戸時代より、明治・大正に制作された弁当箱や提重は漆工芸の華、現代の技術を遙かに凌ぐ漆工品としての出来が素晴らしい。

研ぎ清まされた塗りの滑面が見せる独特な表情、様々な加飾の様子は、見ていて飽きることがない。
外黒内朱の塗り分けは、漆器の伝統的なスタイルながら、色彩の対比も明確にとても斬新に感じられる。

漆は古来からの万能の塗料であるが、乾燥と直射日光に極端に弱い。
本展の多くは漆工品ということもあり、保管状態を完備すべく、ガラスケースに納めたり、ケースを被せたりして、乾燥のしすぎで資料に影響を与えないように湿度調整も若干高めに留意し、調光も暗めとする配慮がなされている。



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 ● 携帯としての収納美

印籠のように実にコンパクトに納めた一人分のものから、多人数の器を納めて荷負棒で担ぐ大型のものまで、弁当箱の収納には、趣味・実用を併せ様々なものが見られる。


桜樹文印籠形弁当
徳利形弁当
茶弁当
透漆扇形弁当


印籠形弁当;
提物の印籠を模した形。
重ね形の弁当箱を外枠に納め、外枠の両側に紐を通して腰から吊す式。
側に開けられた窓から丹塗の柵越しに桜を覗く意匠、珊瑚の紐留め、根付けの福禄寿の象牙細工も秀逸。

徳利形弁当;
一見やきもの製の一升徳利の風情ながらも、実は漆器であったという意外性。
首の仕込を抜くと、本体が分解し、酒器、箸、椀、盃に盃台などが現れる。
徳利一本を提げての参上で、実は一人前の酒宴の容器をすべてカバーしている。
そんな遊び心ある見立てと洒落っ気が、宴会の持ち物に相応しい。

茶弁当;
湯を沸かしたり酒の燗をするための道具類を家形の箱に納めたもの。
荷負棒を用いて担ぎ、紅葉狩りや花見の席に持参した。

扇形弁当;
大型な曲物の筥のなかに納まる、実用本位に透漆で仕上げた簡素な食器の数々。
多人数用で、これだけの量を全て詰めたら、どれほどの重量となることか。
筥には荷負棒を通す丈夫な金具が付く。


携行用酒燗器;
現在のように徳利を用いて燗をつけるようになったのは江戸時代に入ってから。
手が付いた器の内部は二部に分かれており、片方に水を注ぎ、火入れの部分に炭を入れ湯を沸かし、野外で用いた燗道具。



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 ● 行楽と弁当箱

上; 名所図絵にみる遊興図は紅葉狩りか、野外に二畳敷きの縁台が設置されている。
重箱に納められた料理の数々、酒燗器らしきものも確認できる。

下;「追善絵 瀬川路考他」      歌川国貞      文化年間(1810-1817)
役者絵の場面でも、蓮池での舟遊びか、蒔絵が施された豪華な提重が描かれている。



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 ● 「花見の提重詰」

重箱;
食品を入れる重ねる容器。磁器製のもの、漆塗りのもの、蒔絵を施したものなどがある。
当初は、宴席に料理を盛って出す容器だあったようだが、現在は、祝儀の赤飯や不祝儀の饅頭を入れたり、正月の重詰め、物見遊山の料理や弁当に用いられる。
箱は上から一の重、二の重、三の重、「四」の字を縁起をかついだ与重と、重ねる段数だけ呼び名が増える。

重箱に納める料理は
一の重には、祝の肴や口取り風の甘いもの。
二の重には、焼きものや揚げもの。
三の重には、酢のものや生もの。
与の重には、煮物の盛りつけが、伝統的とされている。

この目録にも、実に数多くの料理が載せられている。



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 ● 漆工芸の粋、提重

葡萄栗鼠文蒔絵提重
秋草文蒔絵提重
萩と蝶文蒔絵提重
六角形提重


提重;
4~5分の酒の肴が入る重箱、銘々皿、酒筒や盃などの酒器を携行できるように、持ち手の付いた外枠の中に納めたもの。花見重、野弁当とも呼ばれ観劇、花見、紅葉狩り、月見や夕涼みなど、四季折々の物見遊山の際に活躍した。ハレの器として、近世の風俗画や名所図などに多く描かれている。外枠の形、文様、開閉や収納方法などに様々な工夫を凝らしたものが多く作られ、その階級により蒔絵を施した豪華なものから、庶民の用いたシンプルなものまでと多様。


今回の展示では、やはり一番目を惹いたのが、重箱と徳利・袴・取り盆・楊枝箱などを組み合わせた提重の類。
その携帯性、模様、加飾など、漆工芸としての意匠の粋が随所に散りばめられており、素晴らしい。
一点一点が誂えによる特注品であるこれらの品は、それに応える高度な職人技術があってのことであり。
同時に、この豪華な提重を使いこなす高貴な階級と、豊かな文化が存在していたことに目を見張らされる。
容器だけでもこれだけ贅沢なのに、さらに食品としての肴も美しく盛られての酒宴は、いかばかりの華やかさだったろうか。

四季の風物に呼応した図柄の草花や、繊細にして簡略化された様々な伝統的な模様の数々。
黒地に施された金銀の蒔絵が、野外での行楽で見せる感覚とは、いったいどのようなものであったのだろうか。
様々な色彩で氾濫している現代の自分たちの環境からは、きっと想像もつかないほど、その見え方も、野外での自然の色味と、対比的に映えて、とても風流であったに違いない。


「葡萄栗鼠文蒔絵提重」;
枠上部に2つの袋、側面中央に大きな袴を抜き、天には煮色仕上げの銅製金具。
棚には四方盆と楊枝箱を納め、下段に四段重箱と錫製の徳利一対を立てる。
武士の志である「武道を律する」を図案化した文様で、蔓の巻いた葡萄とその枝に留まる栗鼠を金銀平蒔絵で表す。

「六角形提重」;
剥ぎ目を残した木地に透漆を塗った木地溜塗りの変わり形提重。
菱形を3つ組み合わせた形状で、内部に菱形の重箱、銘々皿、酒器を納める。


現代では、漆器のもつその雰囲気を模しただけのものであれば、素地はプラスチックなどの人工素材に、塗料は化学塗料に、加飾はプリントでもって代用できてしまう。
そのような機械製造の量産による漆器風疑似容器が巷に溢れている。
結納用の屠蘇器、重箱などといった改まった席での食器から、料理屋の仕出し容器、コンビニやスーパーで販売されている弁当、惣菜が納まる発泡スチロールトレイといった使い捨ての容器にまでと幅広い。

使い捨ての容器であっても、少しは模様があったほうが気も和むし食事も楽しめる。
豪華な模様のデザインは、かっては庶民の手に届かなかった、上等品に対する憧れのようなものが核にあり、時代の流れの中でゆるやかに帰結して一般にまで広まった結果なのかもしれない。
簡素を旨とした簡易包装が見直されている反面、依然として、使い捨て容器などにすら過剰な加飾が見られる、日本人の食器と模様に対する概念を突き詰めていくと、このデリケートな現象はなかなか面白い問題だと思う。



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 ● 「花見の戯」   幕末-明治(1860s)

幕を広げての花見の場面、出店に弁当売りの姿が見られる。
やはりなんといっても新春の桜の花見が一番。季節も縮籠った冬の寒さから放れ陽気を増し、人々の気運も木々の萌の生命力にあやかり徐々に高まる。
花見の宴には酒がつきもの。
酒ですっかり気分も大きくなって、吹き出しに読める各種の小言、つい飲み過ぎてもどす人の姿など、花見の席で、庶民がおおらかに愉しむ様子が随所に見られ面白い。
現在の花見でも度々見られる乱散気騒ぎの無礼講、ルーツは既にこの頃からあったのか。



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 ● すべてが見事に納まって

萩と蝶文提重
鮑弁当・徳利弁当
将棋に桜文弁当
草花文漆塗重弁当


「鮑弁当」;
大きな鮑の貝殻の形態を活かし容器に仕上げている。
表面を部分的に研磨して、螺鈿と同じく虹色の輝きを持つ殻質を際だたせている。

「将棋に桜文弁当」;
将棋盤を模し、蓋を上げれば内部には5枚の変形皿と、側面の抽斗には将棋の駒形の蒔絵の銘々皿が納まる。そのほかの酒器および駒笥があり、駒笥の中には駒が入り、宴の席で将棋をしながら馳走に箸を伸ばす嗜好のもの。



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 ● 枇杷葉湯売りの荷台

「夏商人繁花の図」 三代歌川芳盛  明治5年(1872)
枇杷葉湯売用両掛荷台

枇杷葉湯(びわようとう);
枇杷の葉を乾燥させたものに、肉桂や甘茶などを混ぜて煎じた飲み物。
暑気あたり、頭痛、立ち眩みに効能があるとされ、夏の間、江戸や京都の町中を行商人が口上を述べながら売り歩いた。
行商用の箱は天秤棒で担ぐようになっており、丸の中に烏が飛んでいる絵が「枇杷葉湯」の文字と共に描かれている。

弁当箱に劣らず、全ての商材をコンパクトに纏めた引き売りの道具にも、形態機能が濃縮されており面白い。
夏の風物詩の絵図らしく、ほかにも虫売り、金魚売り、氷水売りが描かれている。
売り手との口上や、客とのやり取りの場面も面白い。



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 ● 芝居と弁当

「三国無双久古の軍扇」  歌川芳虎・歌川芳盛   明治5年(1872)
「芝居絵 踊形容江戸絵栄」    三代歌川豊国    安政5年(1858)

舞台の上で見得を切った役者の姿とは対照的に、枡席にすし詰めとなり、自由気儘に飲み食いをしながら、観劇に興じている人々の表情が面白い。
仕出しもあったりと、客席には様々な容器に詰められた弁当が確認できる。


**資料解説の参考資料
図録『弁当箱の工夫』 国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館 2005 ほか


様々な弁当箱の意匠が楽しめる素晴らしい展示です。
会期は2018年7月6日(金)まで。
5月26日(土)に公開講座「立体の形・模様の美」あり(要予約・無料)


なお、過去ログながら弁当箱<現代の日常使いのもの>について、少しばかり触れてます。世界の弁当箱はこちら、
インドの弁当箱はこちら を参照まで。






形態の形、弁当箱のいろいろ 面白い展示でお勧めです! (^_^)/~  



  1. 2018/05/02(水) 20:29:03|
  2. 弁当箱
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408 ピスコ会




友人の家での宅飲み、今回の旅行ではボリビア周辺を巡ってきたとのこと。



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 ● ピンガ(上)とピスコ(下)

昨秋のピンガ(砂糖黍の蒸留酒)会にひきつづき、今回はピスコ(葡萄の蒸留酒)会ということでお呼ばれ。

葡萄の蒸留酒といえば、イタリアのグラッパや、マケドニアのラキアは飲んだことがあるけれど、ピスコは今回が初めて。

意外とあっさりしており、口当たりがよい。
グレープフルーツジュースとレモンで割ってトロピカルな味のピスコは、連休中に真夏日となった本日は、気候的にも爽快感得れる飲み物ですいすい飲んでしまいます。
やはりそのままストレートでも、すいすい。
強い酒ながら痛飲矢のごとし(一応40度ある)となってしまい、やばそうです。

前回に引きつづき今回もピンガが登場、中央の籠編瓶のピンガは、蒸留工程での焚き火の香りというのか、風味に若干癖があるが、泡盛界の白百合的存在というかピンガ界の白百合といった感じで、好きですねこういう味。



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 ● 遺跡の写真などを見せてもらう。

行ったことのないこの地域、市場の様子や、スペイン文化と原住民文化が入り交じった様子など、面白い写真ばかりだ。
マチャピチュ遺跡の凄さに感激、リャマも結構可愛い。



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 ● 持ち寄りごはんいろいろ

鶏レバー入りタイ風ピリ辛サラダ
砂肝炒め
合鴨ロース
マル蟹の唐揚げ
刺盛り
ケーキ
・・・・・・・・・・。


持参したごはんは
里芋のカレー(今回はマイルドにレンズマメと、ココナッツミルク仕立)
ヨーグルトのライタ(水菜、胡瓜、長芋と、乾燥イチジク、オレンジピール、カリンズなどを用い甘めに)
浅蜊と菜花のおひたし(菜っ葉、もやし、エリンギも使用)
へしこ巻(蕪のスライスに乗せて、食べやすいように生春巻きに)
漬け物

ピスコ、ピンガともに強い酒なので、ピリ辛つまみによく合う。
唐辛子の原産地はアンデス域ということもあって、酸味の効いたタバスコの強烈な辛さが心地よい。
前回ワニ肉を用意したK君は、今回はハツカネズミを仕入れようと試みたが、日本には輸入禁止食材とされているため果たせず。
代わりに用意したのが蟹。
開高健のオーパ・オーパの蟹を貪り食うシーンをイメージとして。
蟹にタバスコを多量にかけて、ピスコ・ピンガと飲むと、強さ同士が緩和されすきっとした味となり美味でした。



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 ● 濃厚なカスタードソースとジャガイモの相性はばっちり。

現地製のカスタードソース。
バター風味でとてもコクがある。
マスタードが入っているのだろうか、若干青臭いピ-マンっぽい味が感じられて美味。
現地の主食はジャガイモだそうで、来る日も来る日もジャガイモ責めでけっこう辛かったとのこと。
ラテンの強い酒のアテには丁度良い一品です。



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 ● コカ茶

頂いたティーバッグのコカ茶。
マテ茶は以前飲んだことがあるけれど、コカ茶は初めて。
高山病にも効力を発揮するというコカの葉には、言わずと知れた麻薬の一種コカインを含む。
コカキャンディーや、コカ茶など、やばいんじゃないのと問うと、コカの加工品はOKとのこと。
微妙な葉っぱ臭い苦さが、いい感じだ。
「ら・り・る・れ・ろ」、1分おいて、また「ら・り・る・れ・ろ」、普通に言える。
どうやら、ラリることはなさそうだ。



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 ● ウユニの湖塩

 『ウユニ塩湖』; 
標高3700mのアンデス高原地帯に広がる広大な塩の大地。
雨期になり冠水すると広大な塩湖となる。
塩の収穫は乾期の4月ころからはじまる。
表面にできた数ミリほどの新たな結晶をシャベルで掻き集め、高さ1mほどの山をどんどん作っていき、数日乾燥させたものを工場に運び粉砕して、袋詰めして販売する。
塩は食用のほか、土産物店で販売する民芸品の原料になり、また建材用の塩ブロックとして加工される。


観光地ウユニ湖の村の普通の雑貨屋で売られていた塩。
ローカル色あふれるなんとも安っぽいイラストがいい感じだ。
この季節(2月中頃)の塩湖は、湖面が完全に干上がっておらず、浅く水が張っている。
そのため人影が鏡のように写り込むのだとか。
ゴジラを手前に撮られたウユニ湖の珍景は、インスタ映えする可笑しさだ。
長靴をはいてはいるものの、結局全身水浸しとなってしまったとのこと。
笑える。


まだ旅をしたことのない国のお土産は、なんといっても嬉しい。
塩・お茶は大好きなアイテムなので、どんな料理に合わそうか、まだ封を切っていないけど想像する喜びに溢れる。
集まった仲間で、袋の中身を小分けするはずだったけど、結局独り占めしちゃいましたゴメンなさい!


ちなみに、うちの塩コレはこんな感じです!





強い酒に我を無くす、たのしい飲み会となりました。  (^o^)  



  1. 2018/05/01(火) 16:11:33|
  2. 食品
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